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「“バックレ”よりも安心感」年間1万件以上の相談、“退職代行”利用する新入社員のホンネ

退職理由で最も多いメンタルヘルス不調

頭を抱える

※写真はイメージです(Photo by Adobe Stock)

 そして2017年に業界初の退職代行サービス「EXIT」を立ち上げる。業界のパイオニアとして、これまで多くの退職代行を実施し、今までに退職できなかったケースは一件もないという。“退職成功率100%”を誇るEXITは、まさに業界随一の知名度を持つサービスといえるだろう。  こうしたなか、昨今では退職代行サービスの需要が高まっている理由について、新野さんは「自分が勤める会社の実態が、他社と簡単に比較できるようになったのが大きい」と話す。 「企業のリアルな口コミが載っている『OpenWork』などのサイトを見れば、今の会社と同業種の他社を見比べられますし、最近ではTikTokやInstagramなどのSNSに取り組む会社も多いので、以前よりも情報収集をしやすくなりました。ひと昔前では、入社3ヶ月未満で退職する人は非難の対象にされることも多かったわけですが、今の時代は転職が当たり前になってきています。  例えば、営業という職種で見ても、1日300件テレアポする会社と、ITを駆使して効率的に営業する会社では、後者の方で働きたいと思う人も多いと思うんですよ。こういった仕事の仕方も口コミやSNSを見れば、情報をキャッチアップできるので、それが『職を変えよう、転職しよう』と思うひとつのきっかけになっているかもしれません」 新野俊幸 加えて、「メンタルヘルスに悩んで退職に至るケースは6割に上る」と新野さんは続ける。 「些細なミスで上司から叱責され『ダメ社員』のレッテルを貼られてしまうなど、“自分は何もできない”と感じてメンタルを病む人が多い印象を受けています。また、上司に退職を決める権利はないのに、退職届を出しても受理せずに突き返すことが現場では起きていて、なかには未だに破り捨てる会社もあると聞いています。  上司や管理職が高圧的な態度で押さえつけようとする風土がはびこっているからこそ、自分からは何も言い出せずに悩みを抱えている人が、会社と直接やりとりすることが不要な退職代行サービスを使い、迅速に退職手続きを行うような流れができています」

転職が当たり前の時代。入社3ヶ月未満の退職が増えるワケ

年齢

EXITの利用者状況を示したグラフ。Z世代の利用が最も多い結果となり、20代の割合も年々上昇傾向にあるという

 EXITを使うユーザーの年代は、20代前半の割合が全体の7割を占めるそうだ。その一方、新野さんは「全世代共通している悩みは、先述しているように『退職を切り出せない』こと」だと強調する。  人間関係がうまくいかない、職場での陰口が辛い、上司からハラスメントを受けている、求人票に書いてある労働条件と異なる。こうした理不尽な扱いが、主な退職理由となっている。
勤続年数

勤続年数を示したグラフ。勤続期間が3か月未満で退職する人の割合が顕著になってきているとのこと

「YouTubeやTwitterなど、SNSを使った転職活動もしやすくなり、さらにはブラック企業の悪しき習慣もどんどん表面化されています。つまり、『転職が当たり前の風潮』と『切り替えの早さ』が若者を中心に意識づけされ、早い段階で退職代行サービスを活用し、次の転職先を探すというスタイルが確立されつつあるのではと捉えています」
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退職代行サービスは“バックレ”よりも安心感がある
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1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている

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