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横浜DeNAベイスターズの「リーグ優勝」を予感する3つの理由

 優勝メンバーの首脳陣、選手が横浜スタジアムに顔を揃えた。1998年の栄光を振り返るイベントは往時の空気を体感したいファンの熱気に包まれた。

交流戦で見せた「今年にかける熱量」

横浜DeNAベイスターズ 集合写真

1998年、優勝当時の集合写真

 横浜ベイスターズ(現・横浜DeNAベイスターズ)最後のリーグ優勝、日本一から四半世紀がたった。  12球団で最もリーグ優勝から遠ざかっているベイスターズだが、今年は優勝の萌芽を感じさせる。豊富な投手陣、一気呵成に攻める打撃陣。1998年当時の優勝メンバーが名を連ねる首脳陣。優勝への機運がかつてない盛り上がりを見せている。  優勝当時、球団通訳・広報としてその栄光を経験した筆者が感じた「1998年と同様の雰囲気」。25年の時を経て覇権を摑もうとする横浜の過去と現在、そして未来を紡ぐ。  スタジアムの最寄り駅、JR関内駅を出ると、横浜の街に歓喜をもたらした先輩たちの声が聞こえてきた。構内アナウンスから流れる三浦監督、石井、鈴木、斎藤コーチの声がファンを迎える粋な演出に、今年にかける熱量を感じた。  1998年の日本シリーズで対戦した埼玉西武ライオンズを横浜スタジアムに迎えた6月3日からの交流戦3連戦。当時のスローガン「GET THE FLAG!」を冠し、マシンガン打線の中軸を担った球団史上最強の助っ人、ボビー・ローズがスぺシャルサポーターとして凱旋。抑えの大魔神・佐々木主浩、日本球界最多出場を達成した捕手・谷繁元信らレジェンドも集結し、選手たちは、3連戦限定で1998年優勝当時のホームユニフォームを纏った。  初戦の試合前。そのレジェンド3人が、特設ステージでトークショーを行った。ローズ、佐々木、谷繁。当時のユニフォーム姿の3人がステージに上がると、台風一過の青空の下に集ったベイスターズファンから大歓声が上がった。 「23 ROSE」のユニフォームを手に、久々の来日を歓迎するファンの姿に、めったなことでは感情を露わにしないローズが、「スピーチレス(言葉にならない)」と涙を浮かべていた。

伝説の3人がトークショーで語ったのは…

バッテリー

佐々木と谷繁のバッテリー

 優勝バッテリー、佐々木と谷繁は、互いをこう表現した。 「ボビー(ローズ)は僕の1つ年上。谷繁は3つ下。だけど3人の関係はすごくフラットで仲が良かった」(佐々木) 「1993年のベイスターズ誕生の頃から、弱い時代を乗り越えて一緒に育ってきた仲間」(谷繁)  巨人・長嶋茂雄監督、ヤクルト・野村克也監督、中日・星野仙一監督――。球史に残る名将が率いたセ・リーグのライバル球団と、しのぎを削った横浜ベイスターズが一閃の光芒を放ったあの年。四半世紀を超え再結集した伝説の3人が笑顔で語るトークショーは、ファンの琴線に触れた。
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ベイスターズの1998年、リーグ優勝を振り返る
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1973年、神奈川県生まれ。日大芸術学部卒業後の1997年、横浜ベイスターズに入社、通訳・広報を担当。'02年・新庄剛志の通訳としてMLBサンフランシスコ・ジャイアンツ、'03年ニューヨーク・メッツと契約。その後は通訳、ライター、実業家と幅広く活動。WBCは4大会連続通訳を担当。今回のWBCもメディア通訳を担当した。著書に『大谷翔平 二刀流』(扶桑社)ほか

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