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横浜DeNAベイスターズの「リーグ優勝」を予感する3つの理由

「ベイスターズ優勝」を予感する最大の理由

 そして三つ目にして最大の理由は、1998年のベイスターズを優勝させた当事者たちの存在だ。  今年のベイスターズは、3年目を迎える三浦監督を筆頭に、投手チーフコーチに斎藤隆、打撃チーフコーチに石井琢朗、打撃コーチに鈴木尚典を揃えた。ペナントレースを戦うのはもちろん選手たちだが、DeNAベイスターズの選手たちが今、本気で目指しているペナントを25年前に横浜の街にもたらした実力者たちが、揃いも揃ってユニフォームを着ている事実。そして彼らがベンチに座る安心感。球団オーナー企業となって12年目を迎えるDeNA本社の今年にかける本気度を感じる。  1998年の横浜ベイスターズを象徴するのは“マシンガン打線”。四半世紀を経てなお、当時の打順をソラでも言えるファンが大勢いることは、同時に彼らの誇りとも言える。1番石井、2番波留、3番鈴木尚、4番ローズ、5番駒田、6番佐伯、7番進藤、8番谷繁……。  今回の西武との3連戦。ライトスタンドの応援団は1998年当時のラインナップの応援歌を奏でた後に、佐野、関根、宮﨑、牧ら現役選手の応援歌を歌う演出をした。試合中、バックネット裏の部屋で応援歌を聞いたローズは、「聞いたか? 石井、波留、鈴木……オレたちのヒッティングマーチだぜ。本当にスピーチレスだよ!」と叫んだ。

「代打からの打者一巡で逆転だなんて、俺たちみたいだな!」(ボビー・ローズ)

野球選手 この3連戦、ベイスターズのチーム本塁打は0だったが、打線は3戦で15点を記録し、2勝1敗と勝ち越した。特に圧巻だったのは第2戦、0対4の劣勢で迎えた8回裏の攻撃。先頭9番のピッチャーに代打を送りそこから、打者一巡で逆転勝利を収めた。 「代打からの打者一巡で逆転なんて、俺たちみたいだな!」  逆転した直後、最強助っ人のローズは、目を細めて嬉しそうに言う。令和のマシンガン打線が、伝説のマシンガン打線と重なって見えた。  今年は何かが起きる――。 撮影/小島克典 写真/時事通信社
1973年、神奈川県生まれ。日大芸術学部卒業後の1997年、横浜ベイスターズに入社、通訳・広報を担当。'02年・新庄剛志の通訳としてMLBサンフランシスコ・ジャイアンツ、'03年ニューヨーク・メッツと契約。その後は通訳、ライター、実業家と幅広く活動。WBCは4大会連続通訳を担当。今回のWBCもメディア通訳を担当した。著書に『大谷翔平 二刀流』(扶桑社)ほか
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