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『ポケモンスリープ』配信1ヶ月の評判は? 拡大するスリープテック市場の牽引役となるか

「ポケモン×睡眠」の新作アプリ

睡眠をエンタメ化する『ポケモンスリープ』公式サイト

『ポケモンスリープ』が配信開始され、1カ月が経ちました。『ポケモンスリープ』は名前の通り、睡眠をエンタメ化するスマホアプリ。睡眠時にスマホ本体か、対応デバイス「Pokemon GO Plus +」を枕の横に置くと加速度センサーで睡眠の状態を計測。目覚めるとその日の睡眠が「うとうと」「すやすや」「ぐっすり」の3タイプに分類され、同じタイプのポケモンの寝顔が手に入ります。

眠るカビゴンの周りに朝集まっているポケモンの寝顔をコレクションする

 寝付くまでの時間や睡眠の質グラフなどのデータを記録していく実用的な要素と、集めたポケモンに手伝ってもらい料理を作り、カビゴンを育てるゲーム要素が融合しています。カビゴンの力とプレイヤーの睡眠スコアのかけ算「ねむけパワー」が大きくなれば、集められるポケモンの種類が増えて、別のエリアも解放され、「ポケモン寝顔図鑑」の完成へと近づくのです。公式サイトでは「継続的に使用することで、毎日の睡眠リズムを知ることができます」とうたっています。

ポケモンたちの寝顔はゲームを進めるにつれて種類が増えていく

楽しみながら睡眠の習慣づけを行う

 こうした、ゲームを実用的な目的・用途と結びつける取り組みは、さまざまな形で行われてきました。たとえば教育ソフトがその代表例。ファミコン発売と同じ1983年には、任天堂から『ポパイの英語遊び』『ドンキーコングJR.の算数遊び』がリリースされています。  また、ニンテンドーDSの『脳を鍛える大人のDSトレーニング』(2005年)は大ヒットし、ゲームに興味がない層にも脳トレブームを巻き起こしました。『英語が苦手な大人のDSトレーニング えいご漬け』(2006年)、『見る力を実践で鍛える DS眼力トレーニング』(2007年)、『しゃべる!DSお料理ナビ』(2008年)なども任天堂から登場しています。  センサー技術の発展により体の動きの感知がインターフェイスとして実用ラインに達すると、『Wii Fit』(2007年)のような健康管理ゲームも普及しました。最近では『リングフィット アドベンチャー』(2019年)や『フィットボクシング』(2018年)で、ダイエットのモチベーションを上げたという人も多いでしょう。

『ポケモンスリープ』では、計測した睡眠の質がグラフで可視化される

『ポケモンスリープ』も、ポケモンの寝顔を効率よく集めるためには、1日8時間30分以上眠って高い睡眠スコアを出すことが推奨されています。また、目標時刻(ねむりの約束)を守ると豪華なアイテムがもらえるなど、睡眠リズムの習慣づけを促す仕組みです。  寝具をメインにした睡眠関連ビジネス市場は1兆円以上にものぼると言われ、まだ規模は小さいもののデジタル技術を用いた「スリープテック市場」は今後倍増する勢いで拡大していく見込みと報じられています。  タイムパフォーマンスを重視する現代人にとって、眠りの質を高めることは重要事項。この『ポケモンスリープ』が成功すれば、「睡眠+ゲーム」という方程式が定着し、計測機器の充実・発展も含め、後続のゲームも増えてくるのではないでしょうか。
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『ポケモンスリープ』への反響は?
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ゲーム雑誌・アニメ雑誌の編集を経て独立。ゲーム紹介やコラム、書評を中心にフリーで活動している。雑誌連載をまとめた著作『はじめてのファミコン~なつかしゲーム子ども実験室~』(マイクロマガジン社)はゲーム実況の先駆けという声も

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