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『ポケモンスリープ』配信1ヶ月の評判は? 拡大するスリープテック市場の牽引役となるか

『ポケモンスリープ』に寄せられた感想

 では、肝心の『ポケモンスリープ』の1カ月のセールス動向はどうでしょうか? 公式のデータは発表されていませんが、日々の国内セールスランキングを追っていると50位前後から浮上し、最近は20~30位前後を安定的に推移しています。爆発的なヒットとは言えないですが、課金誘導にはある程度成功している模様。ポケモンボックス・アイテム容量の拡張と時短アイテムが課金のメインで、睡眠データや統計が無制限に閲覧できる「プレミアムパス」(月額980円)も用意されています(無課金の場合は直近1カ月のみ閲覧可能)。

素材を集め、カビゴンに料理を作って育てるのがゲーム要素

 SNSの書き込みやレビューを見ると感想は賛否両論といったところ。「ふとんでスマホをいじらず、決まった時間に眠れるようになった」「子の寝かしつけに役に立っている」「意外としっかりゲーム性があって奥が深い」といった声がある一方、「朝起きるとすぐにやることが多くて忙しい」「ロード時間が長くてゲームをやる気がしない」「睡眠データを測るのに、スマホを充電しながら枕元に置かねばならず、バッテリーの消耗が気になる」との意見も。メインを睡眠アプリと取るか、かわいいポケモンのゲームと取るかでその評価も大きく変わってくるようです。

朝起きたら、集まっているポケモンにおやつを与えてゲットする

 私もプレイしていますが、『ポケモン』ブランドの新ゲームとしては、朝起きたときのワクワク感は非常に高く、ポケモンたちの寝顔にも癒やされ、もっと集めたくなる作り。ただし、睡眠を管理するという目的で考えると、「ポケモンのために8時間寝よう!」というモチベーションは最初の数日だけでした。寝る前にアプリを立ち上げるのが手間で、いつの間にか寝落ちしてしまい睡眠が無駄になったと感じることも……。かわいいながら、朝起きてポケモンゲットのためにおやつをあげる面倒くささもあります。

健康のデジタル管理は常態化するのか

『ポケモンスリープ』をきっかけに本格的な睡眠アプリや、睡眠データを詳細に測れるスマートウォッチに移行したという声も聞かれました。『ポケモンスリープ』をプレイすることで、睡眠とどう向き合うかを考えるきっかけになることは間違いありません。  睡眠だけでなく、血圧、心拍数、血中酸素濃度などをデバイスで測り、日々の体調や活動をデジタル管理できる時代。これがゲーム的な動機づけと結びつき、私たちはより楽しく効率的に、健やかな人生を送ることができる……。こう書くとSF的な近未来世界のようですが、『ポケモンスリープ』はその実現への確かな一歩になったと言えるかもしれません。
ゲーム雑誌・アニメ雑誌の編集を経て独立。ゲーム紹介やコラム、書評を中心にフリーで活動している。雑誌連載をまとめた著作『はじめてのファミコン~なつかしゲーム子ども実験室~』(マイクロマガジン社)はゲーム実況の先駆けという声も
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