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競輪界初‟元選手の女性実況者”が「思わず実況中に言ってしまった…」最大のミス

 競輪は半年に一度、必ず一定数の選手が強制引退となる過酷な世界である(男子は30名・女子は3名)。引退後の仕事は人それぞれだが、そのなかで公営競技界初の「選手から実況アナウンサー」へ転向した人物がいる。小松島競輪の実況を担当している岩原紗也香さんだ。  全国各地の実況アナのなかには、個性的なトークでレースを盛り上げる人もいるが、現在小松島競輪をメインに実況アナとして活動している岩原紗也香さんは、実況アナ史上初の「元選手」という肩書の持ち主である。前回は競輪実況者になったきっかけや、実況をするまでに準備することなどを伺ったが、今回は仕事をするうえで心掛けていることやデビュー当初の失敗談、さらには今後の目標など、意外と聞き流しがちな「声の仕事の裏側」に迫った。

競輪の実況は「レースのBGM」

岩原紗也香さん

現役時代の岩原紗也香さん

 2022年1月までガールズケイリン選手だった岩原さんは、引退が決まった時に小松島競輪の実況を務めていた茂村華奈さんにスカウトされ実況の道へ。茂村さんの下で修業を重ね、小松島競輪の実況を受け継ぎ、競輪界において唯一の女性実況アナウンサーとして現在活躍している。 ——レース実況するうえで意識していることはありますか? 岩原:師匠の茂村さんから「競輪の実況は、レースにおけるBGMだ」と教わりました。競輪は後半にかけてスピードが上がっていくじゃないですか。音楽もAメロ、Bメロがあって、サビで一番盛り上がる。それと同じで、Aメロのように選手たちが落ち着いて流している時は実況も落ち着いて話し、後半に入ってスピードがアップしたら話す速度も上げる。これを意識していますね。あとは、レース映像を観ていない、実況の声だけを聞いている人にも展開が分かるようにするのが大事だと教わったので、視聴者の方が聞くだけでレースが見えてくるように心掛けています。

過去にやらかしてしまった大失敗

 師匠の元で修行を重ね、実況のイロハを学んできたという岩原さんだが、デビュー当時は実況アナとしてはちょっぴり恥ずかしいミスをしてしまったこともあるという。 ——これまでの実況で「やっちまった!」的なミスはありましたか? 岩原:モーニングのチャレンジ戦で、鈴木裕斗選手と清水吉康選手が走るレースがあったのですが……。誘導が外れて「さぁこれから!」って時に、お二人の名前がゴッチャになって「シミズヒロト」って言っちゃったんです。そしたら、「あのS級の清水裕友がチャレンジを走ってるぞ!」って、思いっきりSNSで切り抜かれて、叩かれまくって……。ホントに申し訳なくて、かなり落ち込んだのですが、よくよく考えてみたら、私の実況をメッチャ聞いてくれているんだなということを再認識しました。それまで実況中の選手の名前はフルネームで呼んでいたのですが、この件以降は基本的に苗字だけで呼ぶようになりましたね(笑)。
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実況者としてのプレッシャーとは
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パチンコ雑誌『パチンコ必勝ガイド』『パチンコオリジナル実戦術』の元編集者。四半世紀ほど勤めた会社を退社しフリーランスに。現在は主にパチンコや競輪の記事を執筆している。
X(旧Twitter):@sagyosakurai

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