競輪実況アナウンサーは車券購入する?元ガールズ選手‟競輪実況者”の素顔に迫る
競輪は、半年に一度、必ず一定数の選手が強制引退となる過酷な世界である(男子は30名・女子は3名)。引退後の仕事は人それぞれだが、そのなかで公営競技界初の「選手から実況アナウンサー」へ転向した人物がいる。小松島競輪の実況を担当している岩原紗也香さんだ。
今回はそんな一風変わった人生を歩んでいる彼女に、この道を選んだきっかけから仕事への向き合い方、やっていて喜びを感じるポイントなどを伺い、日本で唯一の女性競輪実況アナの素顔に迫った。
元々は競輪ファンだった岩原さんは、知り合いの選手を応援するために競輪場へ行った際、ガールズケイリンを目の当たりにしたことをきっかけに選手を志すことになった。そして、徳島支部初のガールズ選手としてデビューし2022年に引退。その後、地元の小松島競輪の実況アナに転向した。
——引退した時点で今のお仕事は決まっていたのですか?
岩原:はい、決まっていました。私、12月がラストランだったのですが、当時小松島競輪の実況をしていた茂村華奈さんから、11月の時点でお話をもらっていて。それで、引退レース後に「やらせてください!」って正式に返事をしました。
——それまでは、実況の仕事は全くの未経験だったとのことですが、なぜ茂村さんは岩原さんに声をかけたのでしょうか?
岩原:これは茂村さん曰くなんですが、高松競輪に斡旋されたとき、茂村さんもお仕事でいらっしゃっていて。そのときの私は、成績も振るわない、レースも上手いこといっていないのに、いつもアイスクリームを食べながら「おはようございま~す」みたいな感じだったんですよね(笑)。その太々しさを見て「なんだコイツは?」って思ったいたと、後に話を聞きました。
それで、私が引退することを耳にした茂村さんが私の競輪の師匠に「紗也香をスカウトしていいですか?」って聞いたら、師匠が「アイツは口が達者だから、競輪よりそっちの方が向いていると思う」って言ったので、スカウトしてくださったそうです(笑)。
選手を引退しても競輪に携わることがしたいと思っていた岩原さん。茂村さんからのオファーは願ったり叶ったりだったわけだが、実況アナとしての経験は皆無。ゆえに1年間みっちり修行に勤しんだという。
——修行期間は主にどのようなことをしていたんですか?
岩原:小松島競輪は男子選手の開催しかないので、まずは男子レースの勉強をすることから始めたんです。自分が走っていたガールズと違ってラインがあるので、まずはその役割などを理解することが必要でした。もともと競輪ファンだったので基本的なことは分かっていましたが、ファンだったときと引退した後では選手もだいぶ変わっていましたし、なにより男子は選手の数が多くて覚えるのが大変でしたね。
——1年間の修行を経て独り立ちしたわけですが、現状はいかがですか?
岩原:今でも勉強の毎日です。実況するうえで必要な情報を事前に収集するのですが、参加している選手全員の前回、前々回開催のレースはすべて見返しています。それと、近況の決まり手はもちろん、対戦成績やラインを組む選手との相性もチェックしていますね。さらに、新人選手だったら「学生時代に何をしていたか」など、押さえないといけないポイントがすごく多いんですよ。
7月に行われた記念レースのときは、9人×12Rなので108人の情報を10日くらいかけて調べました。しかも途欠の選手が出て補充が入ったら、その選手のことも調べないといけないし、選手によっては前の開催を走っている最中だったりするので、毎朝チェックしてはノートに書き込んでいます。
実況者にスカウトされたきっかけ
1つの開催で準備にかかる時間は…
パチンコ雑誌『パチンコ必勝ガイド』『パチンコオリジナル実戦術』の元編集者。四半世紀ほど勤めた会社を退社しフリーランスに。現在は主にパチンコや競輪の記事を執筆している。
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X(旧Twitter):@sagyosakurai
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