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歴代の達成馬は? リバティアイランドが挑む偉業「牝馬3冠」

勝っても勝っても人気は2番目だった「脇役の3冠牝馬」

 2頭目の牝馬3冠達成は、21世紀になってからでした。メジロラモーヌから17年後、2003年のスティルインラブ。同馬の3冠の特徴は、その3冠すべて2番人気だったことでしょうか。なぜ2番人気に留まったのか……。  それは同期に超良血のライバルがいたためです。その馬の名は、アドマイヤグルーヴ。スティルインラブと同じサンデーサイレンスを父に持ち、母はエアグルーヴ、そして鞍上は武豊。生まれながらにすべてを備えた超エリートホースゆえに、牝馬3冠レースではすべて1番人気を同馬に譲ったのでした。  しかし、レースに行くと持ち味のしぶとい末脚を生かして抜け出してくるのはスティルインラブの方でした。ラスト1冠の秋華賞では前哨戦で5着に敗れたことで不安の声も囁かれましたが、難なく跳ねのけ3冠達成。3/4馬身差の2着にはアドマイヤグルーヴの姿がありました。  なお、この2頭は続くエリザベス女王杯でも再び相まみえることになり、そこで初めてスティルインラブが人気でアドマイヤグルーヴを上回ります。しかし皮肉なことに、今度は2番人気に甘んじたアドマイヤグルーヴがハナ差でスティルインラブを制して勝利。4度目にしてついに雪辱を果たしたのでした。

「本番を知る」3冠牝馬アパパネ

 初代のメジロラモーヌが前哨戦をすべて制した完全無欠の3冠牝馬ならば、3頭目のアパパネはまったく逆、いわば「勝負所を知る」牝馬3冠でした。  アパパネは2歳牝馬チャンピオンとなり、堂々の主役で3冠路線へ。しかし、桜花賞トライアルのチューリップ賞は2着、秋華賞トライアルのローズSは4着と、常に前哨戦では勝ち切れず人気を裏切っていました。  ところが本番になると、周囲の不安をよそに着実に変わり身を見せます。桜花賞は半馬身、秋華賞では3/4馬身の差をつけ勝利。ちなみに、オークスでは雨の中サンテミリオンと壮絶な叩き合いを見せ、結果は同着。ある意味、史上もっとも周囲をハラハラさせながら達成された牝馬3冠だったかもしれません。
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ジョッキーにも性別にも国にも縛られない「新時代の3冠牝馬」
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