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日本株「優良なのに安値で買える銘柄」をプロが厳選。高配当も値上がり益も期待できる

日野自動車(7205)。不祥事で株価低迷も底力に期待

日野自動車(7205)株価484円(11月21日時点の終値)

 まずは不祥事で下落した自動車会社だ。  普通トラックではダントツであった日野自動車(7205)は10月27日取引終了後に発表した2024年3月期の第2四半期累計の連結最終利益を7000万円、2023年前年同期比と比べ97.8%と発表。  併せて、通期の損益も従来予想の100億円の黒字から、220億円の赤字に下方修正し、一転して赤字見通とした。  このため、月曜日の市場ではストップ安となり、日野自動車は1株500円を大きく割り込むところまで売り込まれた。  私などは、確かに黒字予想から赤字への転落は残念だが、前期の赤字は1176億円もあったのだから、すごく改善したと評価しているのだが、世間はそうではなかった。  日野自動車は、2019年ごろまで1500円ほどの株価であったものの、2020年の北米でのエンジン認証問題の発覚から売り込まれた。その後コロナ禍中であるにも関わらず徐々に復活し1000円を超えるところまで戻した時点で、2022年に日本国内向けのエンジンの排出ガスや燃費試験での不正問題の発覚が起きる。  こうして、株価は低迷を始めた。  しかし、2022年の発覚は内部調査によるもの。ライバル企業にとっても日野自動車が強くあってこそ切磋琢磨できるはずなのだ。非常に安い株価であるので、少し投資をしてみた次第。  それは、同じような車両の燃費値測定試験において、長年にわたって不正な取扱いをしてきた三菱自動車(7211)の事例を見てきているからだ。2020年には200円を下回るところまで下げた株価も徐々に回復、今はおおよそ450円と650円でのボックス相場となっている。2024年までは行えないだろうと言われていた配当金の復配も果たした。1株につき10円だ。  日本の企業の底力。過ちを犯した企業が立ち直るところを伴走できるのは投資家冥利に尽きると思っている。

コロナ禍で下落したままの優良銘柄

 

JAL(9201)株価2908円(11月23日時点の終値)

次は前にも紹介したコロナ禍を引きずる下落株。  JAL(9201)は新型コロナウイルス5類移行もあって、復配、増配を実現した。決算を見ているとコロナ禍前の数字にほぼ戻したものもある。  例えば、売り上げ収益、純損益などだ。まだまだなのが客数だ。単価などが上がったおかげで数字は戻したが、これで客数も戻って来れば利益は拡大し、株価もさらに上がるのは目に見えている。  一方でHIS(9603)は底が見えたものの、まだ株価は1800円を下回る水準で低迷している。  コロナ禍期間中に営業店舗の整理など固定費削減に取り組み、懸案だったハウステンボスの売却も果たしたのに、肝心の日本人の海外旅行熱が円安、インフレ、国際紛争もあって戻していない。  確かに日本からの海外旅行客はコロナ前と比べると戻ってはいないが、業績は確実に上向いている。しかし、市場がそれをまだ認めていないのだ。  日本人が海外旅行に戻らない理由は、円安とインフレで旅行代金が大幅に値上がりしたことも影響しているだろうが、それも、徐々に消費者は受け入れていくだろう。  最後に、資生堂(4911)も簡単に触れておきたい。  6月21日に7160円の年初来高値をつけたあと、右肩下がりだったが、ここにきて大きく下げ、11月20日の終値は4320円だ。中国の景気減速もあり売り上げが落ちているのが一つの要因だ。  市場は新NISAを目前にして来年は多くの個人投資家の資金が流入すると皮算用している。それを見越して強気の株価をつける銘柄もある。株価が釣り上がる前に、賢く安値圏の銘柄を見つけて賢く投資をしたいものだ。 ※株式投資はご自分の判断と責任に基づいておこなってください。 <文/佐藤治彦 チャート/googleファイナンス>
経済評論家、ジャーナリスト。1961年、東京都生まれ。慶應義塾大学商学部卒業、東京大学社会情報研究所教育部修了。JPモルガン、チェースマンハッタン銀行ではデリバティブを担当。その後、企業コンサルタント、放送作家などを経て現職。著書に『つみたてよりも個別株! 新NISAこの10銘柄を買いなさい!』、『年収300万~700万円 普通の人が老後まで安心して暮らすためのお金の話』、『しあわせとお金の距離について』、『安心・安全・確実な投資の教科書』など多数 twitter:@SatoHaruhiko
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