コンテンツブロックが有効であることを検知しました。
このサイトを利用するには、コンテンツブロック機能(広告ブロック機能を持つ機能拡張等)を無効にしてページを再読み込みしてく>ださい
✕
ログイン
会員登録
マイページ
検索
新着
ニュース
エンタメ
ライフ
仕事
恋愛・結婚
お金
スポーツ
グラビア
サブスク
トップ
エンタメ
芥川賞作家・上田岳弘が最新作『最愛の』で描く大人の恋愛と成熟の姿
エンタメ
投稿日:2023年11月29日 15:50
芥川賞作家・上田岳弘が最新作『最愛の』で描く大人の恋愛と成熟の姿
倉本さおり
バックナンバー
人々を「タワマン」に向かわせるものとは
作中では望未をめぐる謎をはじめ、さまざまな場面で虚像や幻想が崩れるような感覚を味わう。ラプンツェルが住むタワーマンションや久島の会社が契約していた高層ビル内のコワーキングスペースという舞台も、本作を通じて更新されたモチーフのひとつだろう。「タワマン文学」といえばSNS上で何度もネタにされてきたように、格差を上から目線で露悪的に強調するようなイメージが強いが、本作にそうした類のまなざしは感じられない。 「そういう描き方は昔から存在していた『格差』の現代版にすぎないし、今僕が書くべきものだとは思わない。もうすこし別の角度からの照らし合わせがないと、実際に人びとをタワマンに向かわせるものの全体像が不完全になってしまうと思うんですよ。例えば、久島のようにシェアオフィスを転々としながら働いていると、場所へのこだわりや所有の感覚が希薄になってくるだろうし、地面から離れれば離れるほど細部が見えなくなってくるということは、そこから見える風景が似かよってくるということでもある。ヒエラルキーの頂点というより、むしろ自分がワンオブゼムだと感じやすい場所でもあるような気がします」 上田は1979年生まれ。作中の久島と同様、自身も「失われた30年」をまのあたりにして生きてきた世代にあたる。1990年代後半の金融不安、ITバブル崩壊を経て、企業は新卒採用を極端に絞ったため、非正規雇用が激増した。社会から取りこぼされ、成熟する機会を逸したまま中年となったロスジェネ世代の男性を、最近では「弱者男性」という総称で語るメディアもある。こうした同世代の現状についてはどう見ているのか。 「就職するのが大変だったのは事実。今から考えると世間を渡り歩くのが難しい世代ではありました。けれど、『男なんだからこうあるべきだ』『いい大人なんだからこうあるべきだ』と、あるべき姿を巨大に見過ぎているきらいも同時にあるように思います。自分たちがかつての大人たちより弱くなっているぶん、社会全体がゆるくマイルドになっている部分もある。男が家計を支えて当然という考え方も希薄になっていますし、給料が下がっているぶん副業がしやすくなっていたりもします。『こうあるべき』と自分にあてがうものさしを変えればもう少しラクになれるんじゃないかと思います」 幻想や虚像に囚われず、諦念に甘えず、現代のリアルを手繰り寄せることで未来への希望を担保する。デビュー十周年を迎えた作家の、確かな成熟の姿だ。
●上田岳弘(うえだたかひろ) 1979年兵庫県生まれ。2013年「太陽」で第45回新潮新人賞を受賞しデビュー。15年「私の恋人」で第28回三島由紀夫賞、18年『塔と重力』で第68回芸術選奨文部科学大臣新人賞、19年「ニムロッド」で第160回芥川龍之介賞、22年「旅のない」で第46回川端康成文学賞を受賞。他の著作に『異郷の友人』『キュー』『引力の欠落』など。 取材・文/倉本さおり 撮影/中川菜美
倉本さおり
1
2
3
4
おすすめ記事
この記者は、他にもこんな記事を書いています
デビュー2作目で直木賞を受賞した現役会社員作家・川越宗一が明かす「受賞後の生活」
芥川賞作家・町屋良平が明かす「受賞後の生活」と「古市憲寿の候補作」について
「池井戸潤の作品が若い世代にも支持されるワケ」を本人が自ら分析。『半沢直樹』『下町ロケット』…etc.
峰なゆか「男性作家が描く濡れ場はだいたい腹が立つ」――羽田圭介対談
上戸彩 10代の頃は休みなく「現場に行く途中、違う方向の電車に乗ろうとしたことも…」
ハッシュタグ
上田岳弘
小説
Tweet
シェアする
日刊SPA!の人気連載
腕時計投資家・斉藤由貴生
貧困東大生・布施川天馬
インタビュー連載『エッジな人々』
SPA!デジタル写真集
恋愛コーチ・関口美奈子
人に99%「YES」と言わせる ひろゆき構文
結婚につながる恋のはじめ方
トップロープより愛をこめて
マンガで稼いだカネを怪しい投資にブッ込んでみた
連載一覧を見る
24時間更新
人気ランキング
父が失踪、JKビジネスで学費を稼ぎ…壮絶人生を歩むセクシー女優の半生「毒親に育て...
2024年12月17日
離婚から1週間後にがん宣告。「普通に生きることは無理」元ギャルサー総代表の激動人...
2024年12月20日
“アーパトゥ、アパトゥ”が頭から離れない!日本でも大流行「世界的アーティストのコ...
2024年12月19日
37歳でグラビアデビューした“遅咲きのグラドル”、人生のどん底から44歳で初の“...
2024年12月16日
「半年間、毎日食べ続けた」外来種をキッチンカーで販売する芸人。「ナマズはフライ、...
2024年12月18日
エンタメ 新着記事
元人気セクシー女優が明かす、“身バレ”で迎えた修羅場。当時の夫が娘に「ママは汚い仕事をしているんだよ」――仰天ニュース傑作選
2024年12月22日
M-1グランプリ「令和ロマンは連覇ならず」「敗者復活戦は“オタク芸人”が嵐を呼ぶ」元ファイナリストが激戦を完全予想
2024年12月22日
【緊急インタビュー】M-1グランプリ2024優勝候補筆頭!? 狂気の合体漫才が日本一になる日 トム・ブラウン
2024年12月22日
“旧ジャニーズ事務所”タレントたちの「現在地」で見えるもの。“辞めジャニ”と在籍組の風通しは
2024年12月22日
元セクシー女優が暴露する「すぐ辞める女優が急増しているワケ」。女優のメンタルを保つ難しさ
2024年12月21日
孤独のグルメ~食文化応援企画~
ビール2:黒ビール1。人気の『マルエフ』を「ワンサード」で飲んでみた!
2023年11月20日
PR
美味しいビールで酷暑を乗り切ろう!孤独のグルメ原作者が熊本の名店で『マルエフ』を味わう
2023年08月10日
PR
『孤独のグルメ』のオリジナル デジタルトレカがもらえる!「ひとり飯をみんなで楽しむプロジェクト」の第一弾がスタート!
2022年12月02日
HARBOR BUSINESS Online 一覧
中国「秘密警察」が日本人にも接触。日本のカルト教団なども監視か
2024年04月04日
サッカーW杯日朝平壌決戦の行方。カギは定期便と人的往来再開か
2024年03月06日
政治の犠牲になった能登地震<著述家・菅野完>
2024年02月09日
勝SPA!一覧
ドウデュース「出走取消」で混戦ムードに。“東大卒の予想家”が「勝負のカギを握る4頭」を徹底解説
2024年12月21日
<有馬記念>今年の傾向的に「絶対に外すことができない注目馬2頭」を競馬の達人が解説
2024年12月21日
有馬記念が引退レースとなる馬の“注目すべきポイント”。ドウデュース以外に複数頭が該当
2024年12月19日
はじめての副業一覧
50代女性がタイミーに挑戦してわかった、自由な働き方の“光と影”。クレーマー対応や謎の時給カットも…稼げた金額は
2024年12月06日
いま注目の「地方で副業」。都会の会社員が、地方企業を手伝うスタイルが増えそうなワケ
2024年11月03日
副業でセクシービデオに「エキストラ出演」するアイドル。どうしても“お金を稼がなければいけない”理由
2024年10月10日
募集
女子SPA!「佐伯ポインティ新連載」不倫にまつわるお話を聞かせてくれる女性を募集中!
2024年06月28日
<扶桑社 採用情報>のお知らせ
2024年03月12日
週刊SPA!編集部 編集者募集!
2023年03月08日
インフォメーション
あべみほ「悩殺必至の過激ショット」、最新デジタル写真集が発売!
2024年12月21日
ちとせよしののグラビア設定を視聴者が決める!【グラビア生会議 1/28 21:00~】MC:岸明日香
2024年12月18日
”しーなちゃん”のセクシーな秘蔵カットを大放出!週刊SPA!のサブスク「MySPA!」続々更新中!新規会員は初月99円で読み放題
2024年12月06日
週刊SPA! 最新号
週刊SPA!12/24号(12/17発売)
ときちゃん
Amazonで購入する
定期購読する
バックナンバーはこちら
SPA! 最新の関連書籍一覧
トリビュートブック 100%孤独のグルメ! それにしても腹が減った!
海外売春-女たちの選択-