上戸彩 10代の頃は休みなく「現場に行く途中、違う方向の電車に乗ろうとしたことも…」
女優としてのキャリアを着実に積み重ねるとともにここ数年で私生活でも大きな変化を迎えた上戸彩。そんな折、平日昼間の妻たちの淫らな日常と純愛を描いて話題となった『昼顔』が映画版として蘇る。母となり、女優復帰を果たした今、再び難役に挑む現在の心中とは?
――以前、週刊SPA!にご登場いただいたのは12年前、まだ19歳のときだったんですよね。当時の記事をご覧になって感慨深いものがありますか?
上戸:う~恥ずかしい。この頃はまさに反抗期で……今見ると、目が怒ってるもん(笑)。「皆さんが思い描いている上戸彩でいなきゃ、キャラクターを演じなきゃ」って思いつつも、「実際の自分はそうじゃない」っていう気持ちを隠しきれていない。殻を破りたいのに破りきれない、もどかしい頃だったと思います。
――お芝居も歌もバラエティもCMも、とにかく何に関してもオールマイティにこなしてしまう印象があったので「反抗期」は意外でした。
上戸:私、本当はまったく器用じゃないんですよ。そもそも活字が苦手で、実は台本を読むのも毎回いっぱいいっぱい。10代の頃は休みも全然ない生活が何年も続いていて、それも今となってはとてもありがたいことだって理解できるんですが、当時は仕事には我慢がつきものだって思い込んでどうにか乗り切っていました。でもそうなると、今度は“我慢=仕事”という感覚になっちゃうんですよね。それがこの怒り顔の写真に出ちゃってるのかも(笑)。
――しかも、デビュー当時からわりと難しい役どころが多かったですよね。『金八先生』の直役とか。
上戸:何かしら稽古が必要な役が多かったのも大変でしたね。『エースをねらえ!』の岡ひろみ役、『アタックNo.1』の鮎原こずえ役などのスポ根モノも。そういえば、10年ほど前に『李香蘭』というオール中国ロケのスペシャルドラマに出演させていただいたのですが、それこそ事前の準備期間というものが1分もないスケジュールだったんです。
――中国語の台詞に加えて、実際に歌うシーンも頻出しますよね? あの独特の声調を覚えるの、ものすごく難しそうです。
上戸:そうなんです。本当に中国に着いてから勉強しながら演技するという状況で……。日本に帰ってきたときには、読み込みすぎて台本も楽譜もボロボロになっていたのを覚えています。今までで一番、台本を読み込んだ作品でした。
――いつ見ても肌がツルツルなので、そんな壮絶なメンタルの時代があったとは思いも寄りませんでした……。
上戸:幸か不幸か、疲労が体に出にくいというか、自分でもびっくりするほど体力だけはあって。現場に行く途中で、違う方向の電車に乗って現実逃避してみようと思った瞬間もいっぱいありました。でも、その後で謝るほうがしんどいなと思って……結局、ちゃんと仕事場に向かってましたね。
※このインタビューは5/30発売の週刊SPA!のインタビュー連載『エッジな人々』から一部抜粋したものです。
【上戸彩】
’85年、東京都生まれ。’97年、全日本国民的美少女コンテストで審査員特別賞を受賞してデビュー後、数々のドラマや映画、CMなどで活躍。近年は映画『テルマエ・ロマエ』やドラマ『半沢直樹』などヒット作に出演。映画『昼顔』では、ドラマ版に続き主演を務める
取材・文/倉本さおり 撮影/齋藤清貴 ヘアメイク/中谷圭子 スタイリング/宮澤敬子 衣装協力/ルシェルブルー(問03-3404-5370) (c)2017フジテレビジョン 東宝 FNS27社

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