峰なゆか「男性作家が描く濡れ場はだいたい腹が立つ」――羽田圭介対談
芥川賞を受賞した男が急にテレビに出まくり、ファンとヤリまくる!――「又吉じゃないほう」の芥川賞作家という肩書をあえてネタにしブレイクを果たした羽田圭介の新作『成功者K』は、本人の現実とフィクションの世界が一体化したスキャンダラスな代物。『アラサーちゃん 無修正』最新5巻の発売に合わせて、タブーなき精神に共鳴した峰なゆかと羽田圭介の特別対談が実現した。
峰:初めてお会いしたのはラジオ番組の収録でしたよね。
羽田:たしか2015年の10月末、僕が7月に芥川賞を獲った後のタイミングだったと思います。
峰:すごい! よくそこまで正確に覚えていらっしゃいますね。
羽田:峰さんにお会いする直前に、ちょうど発売されたばかりだった『アラサーちゃん』の4巻を読んでおいたんですよ。で、「こりゃ本当になんもできねえな」ってつくづく思い知らされて……。僕、実は1巻が発売されたときも、当時の彼女に薦められてタイムリーに読んでいたのですが、そのときに味わった「なんもできない」感じにますます磨きがかかっていました。
峰:その「なんもできない」感じって何ですか?
羽田:「この女の人の前じゃもう恥ずかしくて何もできないな」っていう感じです。何もかも見透かされている感覚というか。よくこんなに男側の気持ちが具体的にわかるなあって……。例えば「男が女の何をウザいと思っているか」とか。
峰:男の人の気持ちがわからないからこそ、いつも知りたいと思ってるんですよ。このあいだも単行本のあとがきのネタ用に初めてホストクラブというものに行ってみたんですが、キャバクラに行く男の人の気持ちがものすごくわかった気がしました。
羽田:というと?
峰:やっぱり、ちやほやされるのって単純にうれしいし。あと、ハタチくらいの男の子と話しているところにアラサーの男の子が「おじさんですみません」なんて言いながら来ると、こっちも「うわー年増が来たなー」とかふつうに思っちゃうんですよ! 自分よりも歳下なのに……。だから、40過ぎのハゲ散らかしたおじさんがキャバクラで「おいおい、ババアじゃん」とか図々しく言う感覚もわかってしまうというか。この環境にどっぷりハマったら危ないなって思いました。
羽田:峰さんって、リアルの場面でも作品の中でも、男女両方に批判的な目が向けられていますよね。それは本当にすごいなと思う。あと、同じ作り手しての感想を挙げるなら「ずいぶんコストの高いことをやってるな」っていうことに尽きる。
峰:私も自分でそう思うんですよ!
羽田:たとえばストーリー漫画だったら、作画は大変だろうけど、同じような状況を焼き増しして展開自体はつくれるじゃないですか。でも四コマ漫画は使い回しができない。常に新しい気づきや共感のポイントを探し出して、常に人を笑わせなきゃいけない。特にアラサーちゃんのネタは性や友人関係のネタに集約されるし、「もうこれ以上ネタないんじゃない?」って心配してたんですけど、5巻に入った今も薄まる気配がないところがすごい。これ、作っているほうは気が狂うなって……。
峰:実際、気が狂って一度休載したんですよ。Amazonで練炭を買ったくらいですから(笑)。
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