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若者よりも“孤独”を感じやすい中高年。ITツール免除も“配慮”のつもりが逆効果に…

会社側の“配慮”が逆効果になる

シニア転職

写真はイメージです

 こうした中高年社員のコミュニケーション不足に拍車をかけるのが、会社側のいき過ぎた“配慮”だ。冒頭でも触れたように、ITツールの使用などについて中高年社員に「特例」「特別扱い」をするのは、むしろ逆効果で絶対にやめるべきだ。  会社全員がビジネスチャットの利用やデジタルの勤怠管理を行う中で、中高年だけ「紙でいいよ」などと特例を認めるのは、一見、ITが苦手な社員への配慮に思えるが、これを行うとそれだけで疎外感が生まれる。通常の業務の流れの中にいないだけで、ちょっとした雑談にも入りにくくなる。  中高年社員自身も、特別扱いされた当初は楽かもしれないが、いずれ孤独感が増すため、積極的に皆と同じツールに慣れるべきだし、会社も中高年を特別扱いするより、皆と同じITツールに慣れてもらったほうが後々の離職を防げる。

あだ名で呼ぶ仲のシニアですら孤独感?

 こうした中高年社員のコミュニケーション不足や孤独は、なかなか年下上司では気づきにくい。私もこれまで多くの50〜70代のシニア社員を採用したが、何人か採用した時点でもコミュニケーションが不足しているとは気づかなかった。  例えば、私たちはテレホンアポインター(インサイドセールス)の仕事で多くのシニアを採用しているが、その中に成績も抜群で長く活躍したシニアがいた。私としてはコミュニケーションが取れている認識だったが、ある時ヒアリングしたところ、本人はそれでもコミュニケーション不足を感じる時があると答えたのだ。  会社全体ではなく、社員が何人かで集まるような飲み会にも進んで参加するシニアで、私からはあだ名で呼ぶような関係性だったので、まさかコミュニケーション不足とは思わなかった。しかし、若手とのちょっとした対応の違いから、疎外感を感じる瞬間があったのだという。  もちろん、疎外感をまったく感じさせない完璧なコミュニケーションは難しいが、この一件で私は、自分の世代と中高年との感覚の差や、中高年のコミュニケーション不足には注意し過ぎるくらいでちょうどいいと感じたのだった。
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中高年とのコミュニケーションスキルが必須に?
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50代以上のシニアに特化した転職支援を提供する「シニアジョブ」代表取締役。大学在学中に仲間を募り、シニアジョブの前身となる会社を設立。2014年8月、シニアジョブ設立。当初はIT会社を設立したが、シニア転職の難しさを目の当たりにし、シニアの支援をライフワークとすることを誓う。シニアの転職・キャリアプラン、シニア採用等のテーマで連載・寄稿中

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