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若者よりも“孤独”を感じやすい中高年。ITツール免除も“配慮”のつもりが逆効果に…

 人生100年時代。「人生最後の職場を探そう」と、シニア転職に挑む50、60代が増えている。しかし、支援の現場ではシニア転職の成功事例だけでなく、失敗事例も目にする。シニア専門転職支援会社「シニアジョブ」代表の中島康恵氏が、今回は中高年社員と上司のかかわり方を解説する。

シニアジョブの中島氏

いつも注意喚起している中高年のコミュニケーション不足

 中高年社員は、年下上司が思っている以上に孤独感・疎外感を感じやすい。上司自身はコミュニケーションが取れているつもりでも、知らず知らず進行している中高年のコミュニケーション不足について、セミナーでの講演内容も含めて紹介する。  2023年は、セミナー登壇・講師の依頼が多くあった。都道府県・自治体主催のものも多く、中高年の求職者向けに就職のアドバイスをするものから、求人企業向けに中高年を採用する際の注意点を解くものまで、様々だった。  中高年求職者向けと、求人企業向け、それぞれのアドバイスもあれば、どちらにも共通するアドバイスもある。共通するアドバイスの一つが、「中高年社員のコミュニケーション不足と孤立」に関するものだ。  例えば、「中高年はITが苦手」という先入観から、特例で中高年のITツール使用を免除すると、かえって孤独感が増してパフォーマンスの低下や離職につながる、といった話を、私はこれまで様々なセミナーで講演している。

ITツール免除、“配慮”のつもりが逆効果

 社員の活躍についてコミュニケーションが重要となるのは、何も中高年に限ったことではない。職場での悩みや退職理由に「人間関係」を挙げる人は、全年齢を通じて多い。  しかし、中高年の場合、他の年代よりもさらにコミュニケーション不足や職場内での孤独は深刻な事態に発展しやすい。また、問題が発生してから短い期間で深刻化しやすい。これには中高年特有の状況が関連している。  最近では上司が年下であるケースが珍しくない。若手中心の会社であれば、周囲の同僚も全員年下ということもあるだろう。「年下に頭を下げたくない」といった悪感情を持つ一部のシニアにはもちろんストレスだろうが、そうではない腰の低い中高年であっても、若手に遠慮してコミュニケーションが不足するケースが多くあるのだ。  私たちが支援で接した何万人というシニアや、私たちの社内で活躍するシニアにヒアリングした中でも、「私のような高齢者が出しゃばっても若い人の迷惑になると思う」と話す人が少なくない。そうしたマインドは、中高年社員のコミュニケーションを業務に必要最低限に狭めてしまう。  社員数の多い会社であれば一定数以上の中高年がいるが、都市部のスタートアップやベンチャーのオフィスワークでは中高年がいても多くない。また、複数の中高年社員がいればコミュニケーションが取れるかと思いきや、むしろ60代と50代のような小さい年齢差のほうが確執を生む場合もあり、簡単ではない。
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会社側の“配慮”が逆効果になる
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