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銭湯で「常識がないのかお前は!」と怒鳴る常連の老人。新規の若者客と“和解”するまで

「常識がないのかお前は!」と怒鳴っていた

「サウナ室は行く時間によって座るところが何となく決まっているんです。ある時、複数人で利用していた若い客が、知らずに常連たちのエリアを占拠していたんです。そうしたら、老人の常連客が入ってくるなり怒号を浴びせて、どくように説教を始めたんです。さすがに無理があるだろうと思いながらその場を静観していたのですが、若者は怒鳴られたことに面喰い、すごすごと出て行ってしまいました」 それだけではなく、水風呂の使用方法も揉め事の火種になっていたそうです。 「水風呂は小さく、常連たちは空いた頃合いを見計らって譲り合いながら利用しているんです。ただ、ギュウギュウの水風呂にも入ろうとする若い客もいます。自分が見かけたケースでは、老人客が数名入っている中に新規の客が入ろうとした時に、『常識がないのかお前は!』と怒鳴りつけていました……。場が完全に凍りつきましたね」

キレる老人もめっきり減った出来事が

常連客は自分たちの憩いの場を荒らされているようで苛つくのもわかりますが、怒鳴って注意するのはやりすぎな気もします。自分も若者客として、いつ注意されるかわからないとヒヤヒヤしていた高橋さんですが、意外な場面に遭遇することになったようです。 「一人の常連のおじいさんが、サウナ室で倒れたことがあったんです。その時に、いち早くスタッフに連絡して、サウナ室の外に担ぎ出したのが若い客でした。その数日後から若者も満更ではない……みたいな風潮が常連客の間で広まったんです。単純ですよね(笑)。その一見以来キレる老人もめっきり減り、平和にサウナを利用できるようになりました」 新規の若者客はルールを破っているのではなく、単に知らないだけなのかもしれません。だからこそ頭ごなしにではなく諭すように説明すれば、きっと分かり合えるはずです。一糸まとわぬ環境では難しいかもしれませんが、しっかりととのってから帰るためにも、それなりの寛容さを身に着けておきたいところですね。 <TEXT/高橋マナブ>
1979年生まれ。雑誌編集者→IT企業でニュースサイトの立ち上げ→民放テレビ局で番組制作と様々なエンタメ業界を渡り歩く。その後、フリーとなりエンタメ関連の記事執筆、映像編集など行っている
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