更新日:2024年05月16日 12:50
恋愛・結婚

「妻が、子どもを脅すように叱るのをやめさせたい」という夫。しかし、原因は夫にあった

見えない部分までパートナーが支えてくれているからこそ

 Rさんは、話しているうちにだんだん青ざめながら言いました。 「私は、ちゃんとパートナーに感謝の気持ちを持っていますよ。『当たり前』とか、『やって当然』とかだなんて思ったことはただの一度もありません。でも、今の内容は妻とケンカする度に言われることとあまりにも同じで、今、衝撃を受けています……」  では、Rさんはどうしたら良かったのでしょうか?  今回のケースの場合、対症療法的には、Rさんご自身が、パートナーやお子さんに代わって保育園の準備をすることが考えられます。もしお子さんが起きている時間帯にRさんが帰宅できないのであれば、普段はRさんが帰宅後にご自身で保育園の準備をしておいて、Rさんが休みの日にはお子さんと一緒に準備をすることでも良いと思います。  ただ、もっと根本的には、以前の記事『不幸や孤独を脱するためには、「愛されること」よりも「愛を受け取る能力」がより重要な理由』で述べたように、Rさん自身が、すでにRさんのパートナーから受け取っているもの、与えられているものに気づき、パートナーに対して具体的に感謝を伝えていくことが必要になると考えられます。  今、Rさんが仕事に忙しくできているのは、どうしてなのでしょうか?  Rさんが家事や育児の分担を「自分のできる範囲」で済ませていられるのは、どうしてなのでしょうか?  それは、Rさんのパートナーが(Rさんから直接見えないところで)家庭のことや、お子さんを常に精一杯ケアしてくれているからに他なりません。

「パートナーへの感謝」が口先だけで終わらないようにする方法

 Rさんも、口では「パートナーに感謝の気持ちを持っている」と言っていますが、残念ながら、現状ではその気持ちがパートナーには伝わっていないようです。どうしたらRさんの感謝の気持ちがパートナーに伝わるのかを模索してみることもできるのではないかと僕は思います。  GADHAにおける「感謝する」の定義は、相手のニーズをケアすることです。例えば「ありがとう」という言葉を発することも、相手が言葉を求めていないならば、それは感謝にはなりません。 ・相手が具体的にどんなニーズを持っているか、それをどうケアできるかを、相手の立場に立ち、(自分の価値観や感じ方ではなく)相手の価値観や感じ方で考え、行動すること。 ・そして、万一、相手のニーズを読み間違えてしまった時には、(「喜ぶと思ってしてやったのに」と相手に自分の善意を押し付けるのではなく)その事実を素直に認め学び直して、改めて相手が心から喜ぶことをする  それこそが本当の意味で相手に「感謝する」ことなのであり、あなたとパートナーとの関係を持続可能でくつろげるものにしてくれるのです。(『「相手に多くを与えたのに、離れていってしまう」という人の特徴とは』参照)  職場同様、ケアすることは、家庭においても必要なのです。
次のページ
思い込みと視点を変えることで争うことが減った
1
2
3
4
DV・モラハラなど、人を傷つけておきながら自分は悪くないと考える「悪意のない加害者」の変容を目指すコミュニティ「GADHA」代表。自身もDV・モラハラ加害を行い、妻と離婚の危機を迎えた経験を持つ。加害者としての自覚を持ってカウンセリングを受け、自身もさまざまな関連知識を学習し、妻との気遣いあえる関係を再構築した。現在はそこで得られた知識を加害者変容理論としてまとめ、多くの加害者に届け、被害者が減ることを目指し活動中。大切な人を大切にする方法は学べる、人は変われると信じています。賛同下さる方は、ぜひGADHAの当事者会やプログラムにご参加ください。ツイッター:えいなか

孤独になることば、人と生きることば孤独になることば、人と生きることば

モラハラ、パワハラ、DV
人間関係は“ことば”で決まる


記事一覧へ
おすすめ記事
ハッシュタグ