仕事

社員になれなかったコンプレックスで新入社員いびり。パートが告白する「心の闇」

 変わりたいと願うDV・モラハラ加害者が、具体的にどう変わって、 愛と配慮のある関係を作っていけるのかを探る当事者団体「GADHA」を主宰しているえいなかと申します。  コミュニティでは組織に勤務する人も多く、職場の同僚や後輩に対する加害について相談を受けることも多くあります。今回はそんな中からAさんの例です。

ミスをした新人を内線で呼びつけ注意

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職場の人に辛くあたってしまう原因は、セルフケアの欠如だった!?

 Aさんの悩みはこうでした。 「4月入社の新入社員Bさんと組んで、仕事をすることになったんです。数年前に入社した私は、Bさんに教えることになったのだけど、ある作業でミスを見つけました。そのとき異常にイラっとしてしまい、別部屋にいたBさんを内線で呼びつけ、ミスそのものをみせて注意しました。慌てて『すいません直します』というBさんに、私は『いいよ私がやっておくから』と言い、帰らせました。正しいことをしたはずなのに、この件が頭を離れません」  Aさんは、教えるのは仕事の一部だと張り切っていたと言います。Bさんのミスをみつけたときは、本人に現物を見せて自覚を促そうと思い、ほかの部屋で作業しているBさんを呼び出しました。ミスを見せつけることで、Aさん自身が安心したそうです。  新入社員Bさんからすると、忙しい中、別作業中に呼び出され、突然叱られたことになります。そして素直にミスを認め、直しますと言いましたが、Aさんは「いいよ、やっておくから」と、Bさんの意思を無視し、自分で処理してしまいました。  Bさんは注意された時に、自分のミスを自分で直したら、『仕事を覚えた』という自覚が生まれたはずです。そしてAさんは自覚を促す立場のはずでした。  今回はBさんは成長の機会を奪われ、ただ責められて傷ついた可能性があります。Aさんは先輩としての勤めを怠り、傷つけてしまったのです。  僕はAさんに、その作業は、すぐ呼び出す必要があったのかと、質問してみました。

「自分の弱さを隠したかった」

 Aさんは、「うーん、すぐである必要はありませんでした。Bさんが作業部屋に来た時に注意すれば間に合いました」と言いました。  そこで僕は、じゃあなんで呼び出してしまったんでしょう?と重ねて聞いてみました。 「コンプレックスがあったんです、キラキラしている新人のBさんに。だから引きずり下ろしたかったんです。新入社員から見たら、忙しいのにただ呼びつけられ、振り回され攻撃された。自分で修正したいというニーズは無視され、傷ついたと思うんですよ。私は入ったばかりの新入社員が、覚えようと苦戦している、いわば弱い立場なのを利用して、マウントを取って、自分の弱さを隠したかったんです」  Aさんは白状したように言いました。
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Aさんが人知れず抱えていた苦悩
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DV・モラハラなど、人を傷つけておきながら自分は悪くないと考える「悪意のない加害者」の変容を目指すコミュニティ「GADHA」代表。自身もDV・モラハラ加害を行い、妻と離婚の危機を迎えた経験を持つ。加害者としての自覚を持ってカウンセリングを受け、自身もさまざまな関連知識を学習し、妻との気遣いあえる関係を再構築した。現在はそこで得られた知識を加害者変容理論としてまとめ、多くの加害者に届け、被害者が減ることを目指し活動中。大切な人を大切にする方法は学べる、人は変われると信じています。賛同下さる方は、ぜひGADHAの当事者会やプログラムにご参加ください。ツイッター:えいなか

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