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年収500万の44歳マスコミ勤務が“うつ”で退職して悟った孤独「驚くほどスマホが鳴らない」――大反響トップ10

投資成功で転職よりも「友人づくり」

 しょせん、会社の人間関係はうわべだけのものと後藤さんは思い知らされた。それならこの機会に学生時代の友人との旧交を温めればと思うが、会社を辞めたことはまだ打ち出せていない。 「飲み会の誘いを『自民党の大物代議士に呼ばれた』『芸能人とパーティにいく』とかなり誇張して断っていました。コンサルや商社など、ほかの業界の景気がいい一方で、マスコミ業界はずるずると業績が落ちていくので、少しでも見栄をはりたかった。だからいまだに無職になったとはいいだせません。それでもまだカネには余裕があるので、ジム、キャンプ、ランニングサークルといろいろなところに顔を出し、新しい友人をつくろうと積極的に話しかけました」  後藤さんの年収は500万円程度だったものの、コロナショック直後に投資系の記事を担当するようになり、自身も株式投資に目覚めると300万円の投資額が3年で1000万円を超え、いまも金融資産額は順調に推移している。そのためいまは転職よりも友人づくりを優先しているようだが難航中だ。

「返信は100文字5000円です」

スマホ

※画像はイメージです(以下同じ)

「いまはLGBTQやエイジレスが当たり前の時代です。ありのままで生きていい。私は社会に出るのが遅れたし、まだ結婚していないから、20代半ばの人たちと話すときにいちばん自分らしくなれる。それなのに、私の恋愛対象世代の女性に『私はマスコミで働いていたから知識も豊富だし、人脈も広い、仲良くなれば、きっとビジネスに役立つよ』と教えてあげても『返信は100文字5000円です。先にPaypayで送ってください』など、ひどい言葉も投げかけられた。  ありのままという言葉は、一重でも美人な若い女性が二重に整形するかどうか迷っているときにかけられる言葉でしかないと知りました。日本では、中年男性がありのままに、自分らしく生きようとすると、さまざまな誤解を生んでしまう」  それでも「孤独を放置すればうつを再発してしまう」と危機感を抱いた後藤さんは、友人を探すのを諦めなかった。いろいろなマッチングアプリに登録し、おカネを騙し取られるなど数々の苦い経験を得て、ようやく自分らしく生きられる居場所を見つけた。
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苦い経験を経て見つけた「居場所」とは?
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編集プロダクション、出版社を経て独立。ビジネス系からカルチャー系まで多岐にわたって執筆する。趣味は映画観賞、自伝研究、筋トレ

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