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暴走族の特攻服の着こなしにはトレンドがあった。「喧嘩上等!」の人たちは危険も顧みず

イカつさ重視「ロング特攻服×サラシ×雪駄 or 地下足袋」スタイル

特攻服

より硬派な印象を強めたスタイル

 こちらは「喧嘩上等いつでも来いや!」的なセリフを連呼するチームに多かった着こなしです。とにかく「イカつさ」「強さ」「硬派」という印象を与え、ズボンもあえてダブダブでロングの特攻服をなびかせ、真冬でもボタンは閉めず、裸にサラシ姿で暴走するわけです。  中には地下足袋にズボンの裾をインしている人もいて、それはそれでワイルド感がありました。真冬に雪駄で走るというのは、さすがに根性入ってるなと思っていました。  暴走することを考えれば、かなりリスキーなスタイルではありますが、そのぶん、凶暴さを表現できる着こなしだったのではないでしょうか。当時30代そこそこだった私は、“若いからこそできるスタイリングであることは間違いない”と思った記憶があります。  特攻服の着こなしはそれぞれの地方で異なりますが、大きく分けると、この2大スタイルだったと思います。

レディースチーム「ロング特攻服×サラシ×雪駄 or 地下足袋」スタイル

レディースチーム

レディースチームは「ロング特攻服×サラシ×雪駄 or 地下足袋」が多かった

 これもあくまでも私の印象ですが、レディースチームに多かった特攻服スタイルは「ロング特攻服×サラシ×雪駄 or 地下足袋」だったと記憶しています。  もちろん、ショートの特攻服をパンツインしているチームもありましたが、ティーンズロードで人気のあったチームは、ロングの特攻服の背中に自分たちが考えた詩を刺繍していました。走ることが好きなチームは、パンツの裾を地下足袋にインして走っていた気がします。  また、地下足袋以外では(撮影などを行なったりするときに多かったのではと思いますが)踵の高いパンプスなど、ヒール系の靴を履いている子も多かったです。“これでどうやって単車に乗るのかな?”と素朴な疑問を持ったことを覚えています。  ちょっとパターンは違いますが、ティーンズロードで最初に人気が出た埼玉県の某レディースチームは全員、紫のニッカポッカのズボンにサラシを巻いていました。
紫のニッカポッカにサラシ

埼玉のレディースチームは紫のニッカポッカにサラシ

 はじめてその集団を見た時には圧巻の光景で、掲載されたあとも彼女たちの姿をイラストで描いて送ってくる読者が大勢いました。  今回は特攻服の着こなしについて紹介しましたが、各地方によって特攻服の着こなしがそれぞれ違うことは当時の私にとって非常に興味深かったことのひとつです。  令和を生きる読者の方にはピンとこなかったのかもしれませんが、暴走族にとって「特攻服」は“命の次に大切なもの”でした。現在すでに50代前後になっている彼らは、今でも当時の特攻服を大事にしまっているという方が多いようです。  まさに「我が暴走人生」にとって大切な思い出ということなのだと思います。 <文/倉科典仁(大洋図書)>
伝説のレディース暴走族雑誌『ティーンズロード』をはじめ、改造車だけを扱うクルマ雑誌『VIP club』や特攻服カタログ『BAMBO』、渋谷系ファッション雑誌『MEN’S KNUCKLE』など、数々の不良系雑誌の編集長を務めて社会現象を起こす。現在は、大洋図書発行の実話誌『実話ナックルズ』のYouTubeチャンネル「ナックルズTV」や、ギャル男雑誌『men’s egg』をWebで復活させたYouTubeチャンネル「men’s egg 公式」のプロデューサーとして活躍中。
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