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暴走族の特攻服の着こなしにはトレンドがあった。「喧嘩上等!」の人たちは危険も顧みず

 こんにちは。伝説のレディース暴走族雑誌『ティーンズロード』3代目編集長をやっていた倉科典仁と申します。ティーンズロードは1989年に創刊され、90年代には社会現象に。現在は廃刊となっておりますが、そんな本誌に10年以上携わっていました。

平成初頭「特攻服」着こなしの2大トレンドとは?

ティーンズロード

写真は『ティーンズロード』より。以下同

 令和に生きる皆様におかれましては「特攻服」と言ってもピンとこないはずです。しかし近頃は『東京卍リベンジャーズ』などのヤンキー系マンガや映画で特攻服を着ているシーンが多々あるので、もしかすると“なんとなく見たことがあるかも”と思うかもしれません。  暴走族にとって、特攻服は正装といえるでしょう。ふだんの集会はもちろん、引退式、祭りなどには必ず着ていくもので、一般の方たちに例えれば「フォーマルウェア」に当たるのです。    ただ、一口に特攻服といっても地方ごとに着こなし方や身につけるアイテム、意味などが異なっています。編集部員として全国各地に取材に行くたびに興味深く見ていました。  今回はティーンズロード創刊から約10年間にわたってさまざまな特攻服を見てきた私が当時の2大トレンドをご紹介したいと思います。  暴走族だった人からすると「ちょっと違う」などのご意見はあるかもしれませんが、あくまでも私の目から見たものなのでそこはご勘弁ください。

神奈川系「パンツイン×ロングブーツ×半キャップ」スタイル

神奈川系スタイル

神奈川系は実用性が高くスタイリッシュ

 こちらは当時、神奈川などの暴走族を取材しているときによく見かけた着こなしなのですが、特攻服のショート(裾が短いもの)をパンツインしてロングブーツを履き、半キャップ(帽子のような形をしたヘルメット)を被るスタイルです。  私的には走るうえで非常に理にかなっていると感じておりました。  なぜかといえば、ロング(裾が膝くらいまで長い上着)だとどうしてもバイクに乗るときに邪魔になって動きにくかったり、下手をすると裾がホイルに絡まったりして、危険なこともあるんです。一方、このスタイルであれば、その心配がなく運転に支障が出ることも少ないです。また、ブーツを履くことでギアチェンジなどがしやすく、万が一、転倒したときも足を守ってくれるわけです。 特攻服 他の地方ではノーヘル(ヘルメットをかぶらない)で走っている人たちも多かったのですが、半キャップを被ることで事故の際の怪我のリスクも減らすことができます。  利便性・実用性が高いうえにスタイリッシュだと感心した覚えがあります。  神奈川系の特攻服の着こなしはティーンズロードでも紹介したことがあるせいか、全国的にも広まって、オマージュするチームが増えたと記憶しています。  もちろん、流行る前からこの着こなしをしていた他の地方のチームもありましたが……(怒られると怖いので先に言っておきます)。
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「喧嘩上等!」の人たちは…
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伝説のレディース暴走族雑誌『ティーンズロード』をはじめ、改造車だけを扱うクルマ雑誌『VIP club』や特攻服カタログ『BAMBO』、渋谷系ファッション雑誌『MEN’S KNUCKLE』など、数々の不良系雑誌の編集長を務めて社会現象を起こす。現在は、大洋図書発行の実話誌『実話ナックルズ』のYouTubeチャンネル「ナックルズTV」や、ギャル男雑誌『men’s egg』をWebで復活させたYouTubeチャンネル「men’s egg 公式」のプロデューサーとして活躍中。

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