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大事に育てた若者が都会に”さらわれて”いく…。田舎の親が言いたくても言えないホンネ/猫山課長

有能な子どもが出て行くのは、田舎に住む者の「常識」

先日、私の地元の中でもさらに奥地にある会社に勤務する人物とあった。話を聞くと、有名私大を卒業し、海外資本の会社に勤務したのちに帰郷したという。 「え? なんで帰ってきたんですか?」 思わず、失礼な言葉が口をついて出てしまった。そんな疑問を持ったことは一度や二度ではない。地元に住む我々でさえもが、都市部の大学に進学した後はもう帰ってこないと思い込んでしまっているのだ。 長い年月をかけて土地に染み込んだ「有能な子どもたちは流出する」という思い込みは、住む者たちの常識として根付いてしまっている。子どもに片道切符を握らせることに抵抗がなくなってきている。 しかし、それで本当にいいのだろうか。 次女は現在高校2年生であり、大学進学を希望している。他の同級生の進路状況を聞いてみると 「みんな大学進学するんじゃないかな。いきなり就職する子は少ないと思う」 との返事が返ってきた。 これはおそらく次女の感覚的な発言ではあるが、間接的に「田舎を出て都会に行くのは当たり前である」との認識が同級生の中にあることを感じさせる。 田舎を捨てて都会に行く。それは当然であると大人たちも思っているが、見方を変えれば都会による田舎の資産の強奪にほかならない。 人間は一人では大きくなれない。庇護者がそばにいなければ生きることさえできない。通常、それは親の役目になる。

子育ては約20年間のカネと時間を投下する一大事業

おしめの交換から食事の準備まで、大きくなったら塾や部活の送迎、そして金銭的負担など、親は気力も体力も財力も投下して子育てを行なっている。独り立ちが19歳か22歳かの差はあるとしても、約20年の時間を投下する人生の一大事業が子育てだ。 自分の子には幸せになってもらいたい。そんな願いから、多くの学習機会を与えることになる。塾に入れれば相当なコストになるが、子の人生のためにと思い支払いを続ける。その成果として、大学進学を勝ち取ることになる。 そして、田舎の子どもはそのまま帰ってこない可能性が高い。それはもちろん親としても望ましい状態だとわかっている。 しかし、人生の多くのリソースをかけて育て上げた人材が、都会で活躍し、都会に付加価値を付与していくのは釈然としない。それでは都会は美味しいところだけを掬い上げているだけであり、そんな人材の育成の過程を担当した田舎は、何の見返りもなくただ搾取されているだけにしか見えない。完成品に近くなったら、接収されてしまう。実感としては、もはや人攫いに近い。 手塩にかけた人材は、年頃になるとさっさと都会が攫っていってしまう。地元に残るのは、比較的コストをかけなかった、都会が欲しがらない人材だけなのだとしたら、田舎が「創生」するなど夢のまた夢だ。
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低収入でなんとか教育を受けさせた子が攫われていく
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金融機関勤務の現役課長、46歳。本業に勤しみながら「半径5mの見え方を変えるnote作家」として執筆活動を行い、SNSで人気に。所属先金融機関では社員初の副業許可をとりつけ、不動産投資の会社も経営している。noteの投稿以外に音声プラットフォーム「voicy」でも配信を開始。初著書『銀行マンの凄すぎる掟 ―クソ環境サバイバル術』が発売中。Xアカウント (@nekoyamamanager

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