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「仕事はあるのに人がいない」田舎が抱えるインフラ維持という爆弾/猫山課長

【日本の99%は山手線からは見えない 第5回】

田舎の“死につつある”道を見た

田舎

写真はイメージです

 後輩と営業した帰りに、ちょっと車で寄り道することにした。趣味の山歩きの話になり、近くにいいコースがあるよと話したら、ぜひ見たいと言ってきたのだ。  季節は夏。山へ向かっていくにつれて緑はどこまでも深くなっていく。徐々に交通量が少ない道に入っていく。緑はさらに深くなる。いや、深いなんてものじゃない。  道路に覆いかぶさって空を塞ぐ木々、アスファルトを破って伸びてきている雑草、道路脇の草花は路側帯を大きく超え、センターラインを目指し侵食している。この道は、緑に侵略されそうになっている。  この道に来たのは久しぶりで、以前はここまで野放図に植物が成長していなかった。それなりに維持管理がなされていて、走行していて怖さはなかった。  しかし、今日は違う。走っていて怖くなってくる。人が入ってはいけない雰囲気すら漂っている。道が、死につつあるのを感じた。 「なんだか、この道怖いですね……」  運転の苦手な部下の顔は少し強張っている。 「うーん、前に来た時はここまでじゃなかったんだけどなあ……」

「人がいるならどんな建設会社でもいい」

 道路の維持作業をしているのは地元の建設業者だ。彼らは自治体の依頼を受けて作業を行なっている。予算がないのかわからないが、人不足であることは間違いがない。  国土交通省の調査「国土交通省の最近の建設業をめぐる状況について」によると、建設業就業者数は平成9年の685万人から令和3年には482万人へと、約30%減少している。加えて、3割以上が55歳以上であり、29歳以下は1割という状況だ。全産業と比較しても高齢化が進んでいる。年齢は全国の平均だから、田舎はもっと平均年齢が高くなる。それは強く実感するところだ。  先日、事業承継の相談を受けてある建設関連の会社に訪問したが、社員の最年少が55歳で平均年齢は60歳を超えていた。2年後には定年退職者が複数人出て、事業の継続は困難になるという。そんな会社は田舎にはいくらでもある。  別の、地元では中堅の建設会社に訪問したとき、社長に事業承継・M&Aに興味がないかと質問すると、すぐに返答が来た。 「とても興味がある。その会社がどんな状況でも構わない。はっきりいって買いたいのは会社ではなく人だ。人がいるならどんな建設会社でもいい」  仕事はあるが、人がいない。働き方改革もあり、実稼働時間が減少しているから余計に人が欲しい。しかし、田舎には人がいない。高齢化も進み、定年退職者が増えてより人不足になるのは火を見るより明らかだ。
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「工事現場はほとんど大手ゼネコンの旗しかない」
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金融機関勤務の現役課長、46歳。本業に勤しみながら「半径5mの見え方を変えるnote作家」として執筆活動を行い、SNSで人気に。所属先金融機関では社員初の副業許可をとりつけ、不動産投資の会社も経営している。noteの投稿以外に音声プラットフォーム「voicy」でも配信を開始。初著書『銀行マンの凄すぎる掟 ―クソ環境サバイバル術』が発売中。Xアカウント (@nekoyamamanager

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