更新日:2024年03月25日 11:27
お金

「妻が不倫相手とカネを持ち逃げした」元銀行員が明かす、トンデモ金銭トラブル

②「娘に頼まれて」怪しい先に送金しようとする両親

金融イメージ事件は窓口だけで起こるわけではない。外為でもまれではあるが、トラブルが起こる。 ある日、上品な夫婦が「留学している娘にお金を送りたい」と、海外送金の依頼書を持参してきた。当時の筆者は営業店の外為窓口で研修をしており、送金先の銀行や送金先のコンプライアンスチェックを行っていた。 外為の指導担当者は「ま、あんまり引っかかることはないんだけどね」と言いながら、パソコンを叩いてチェックを行った。すると、送金先が「NG先」だったのだ。

生活費と授業料で必要らしいが、その送金先である理由は不明

NGである理由は、簡単には照会できない。マフィアやテロ組織とのつながりの疑いがあるという理由以外にも、技術的に銀行がそこにお金を送れないだけ、という場合もある。銀行としては、とにかく顧客に断るしかない。指導担が事情を説明したところ、夫婦は真っ青になった。 「でも、娘から生活費を送ってほしいと言われています。授業料も娘経由で振り込むと聞いているから、このままじゃ授業を受けることができないんです」 こちらとしても送ってあげたいが、ダメなものはダメなのである。クレジットカードのキャッシング、娘に別の送金先を教えてもらうなど、代替手段を提示したところ、彼らは納得いかない様子ながら、お帰りいただけることになった。 帰店の見送りの際、「でもどうして、銀行から送金できないような先を提示してきたのかしら……」と会話していた夫婦の不安気な表情が、頭から離れなかった。

世の中にお金がある限り、金銭トラブルはなくならない

銀行では厳しい手続きを設定しているにもかかわらず、金銭トラブルが日々起きている。特に今回ご紹介したような、家族間のいざこざが圧倒的に多い。“身内なら安心”と、心のどこかで思ってしまうのだろうか。 少しでも違和感を覚えたら本人に問いただせるような関係性を維持しておく、維持できない相手とはお金のやり取りはしない。これがトラブルを避ける、最も無難な道なのかもしれない。 <文/綾部まと>
ライター、作家。主に金融や恋愛について執筆。メガバンク法人営業・経済メディアで働いた経験から、金融女子の観点で記事を寄稿。趣味はサウナ。X(旧Twitter):@yel_ranunculus、note:@happymother
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