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「浮気しやがって」「ぶっ殺してやる!」DV妻に何度も殺されかけた40代男性に起きた“悲劇”

「イギリスで暮らしていた」という設定

 その優しさが仇になったかのように妻のDVはエスカレートしていく。しかし、「結婚したらもう暴れたり暴力をふるったりしない」としおらしく言う妻を信じ、中村氏は入籍を決心する。 「まるで結婚詐欺だと思っています。婚姻届を出す段階で、3歳下だと言っていたのが、1歳年上だと分かりました。入籍を済ませた時、妻は嬉しそうにニコニコ微笑むのではなく、ニヤっと笑顔を浮かべたんです。その表情は今でも脳裏から離れません」  そこからは地獄の結婚生活が始まる。妻は当初「小~高校までイギリスで暮らしていた」と話していたが、中村氏の親には「幼少期から住んでいた」と話すなど、話すごとに内容がコロコロ変わっていった。実際にイギリスでいつからいつまで暮らしていたのか、事実なのかは複数の裁判所手続を経た今でも不明だという。

何がトリガーになるかが分からない暴力

DV被害者

妻からつけられたひっかき傷

 結婚して1~2年が過ぎた頃、中村氏はあるプロジェクトのリーダーに抜擢された。地方都市に引っ越すことになるが、そこでも妻の暴力は止まなかった。 「当時の部下は、連日、首のうっ血痕を見ていました。『また首輪が増えましたね』 と言われていました」  腕にはひっかき傷ができていた。部下にもバレバレの状態でプロジェクトリーダーとして働き、帰宅すると妻の暴力が待っている。 「羽交い絞めにされ、サムソナイトのビジネスバッグで首を絞められ、失神しかけたこともあります。それでコンクリートの壁に頭を打ち付けられるんです」  その頭への衝撃のせいか、運転中の中村氏の意識が急に遠のくという出来事が起こる。診断後、事情を聴いた医師は「警察へ連絡する」と言うが、中村氏は大事(おおごと)にしないように警察に被害届を出さなかった。
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出産後に離婚するという合意
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立教大学卒経済学部経営学科卒。「あいである広場」の編集長兼ライターとして、主に介護・障害福祉・医療・少数民族など、社会的マイノリティの当事者・支援者の取材記事を執筆。現在、介護・福祉メディアで連載や集英社オンラインに寄稿している。X(旧ツイッター):@Thepowerofdive1

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