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「浮気しやがって」「ぶっ殺してやる!」DV妻に何度も殺されかけた40代男性に起きた“悲劇”

ついに起きた妻からの殺人未遂事件

DV被害者

由紀ちゃんが1歳にも満たない時に描いた壁の落書き。右が中村氏。左側の妻の顔はぐちゃぐちゃに塗りつぶされている

 またあるとき、アメリカのプロジェクトが早く終わり、中村氏が夜12時に布団に入ると、先に就寝していた妻が突然に起き出し、「この野郎! てめえ、この野郎!」と枕を蹴り上げられた。 「驚いてリビングに行く妻を追うと、包丁を持って『浮気しやがって!』と怒鳴りながら、体の中枢部を突き刺そうとしてきました。トイレやバスルームを施錠して逃げても鍵を壊されてしまう。その時は万が一、私が刺されたら、子どもはどうなってしまうんだという気持ちで逃げ回りました」  ルーフバルコニーに逃げても、鍵を壊し、ガラスを割って迫って来る。玄関から出ようとすれば、二重ロックを外そうとするうちに追いつかれてしまう。ついに逃げ場がなくなり、中村氏は和室だった子ども部屋に逃げ込んだ。しかし、柱とふすまの間から包丁を突き刺されて手を切られた。そうこうしているうちに子どもが目を覚ました。 「右手・右足でふすまを押さえて左腕で由紀ちゃんを『大丈夫だよ』と言いながら抱きかかえました。妻が和室に侵入してきたので、由紀ちゃんをかばいながら必死に逃げました。攻撃の際、包丁の先端は、由紀ちゃんの側頭部からわずか1センチもない状態でした。私が身をていして由紀を護らなかったら、側頭部に突き刺さっていました」  さすがに警察を呼ばないとどうにもならないと思った中村氏は、たばこを買いに行くふりをして交番に駆け込んだ。部屋に残された娘の安全のために、パトカーが20台くる騒ぎとなった。しかし、ここでも中村氏は「子どもの母親を犯罪者にしたくない」という気持ちから事を荒立てなかった。

殺人未遂は認定したのに監護権は妻に渡る

DV被害者

中村氏が作成した実子略奪に関する告訴受理票

 しかし、そんなとき中村氏は、妻に当時4歳の由紀ちゃんを連れ去られてしまう。家庭裁判所で子の引渡し(保全処分)/監護者指定審判を申し立てるが、意外な審判が下された。 「妻が犯した殺人未遂事件は一過性のものだとみなされ、殺人未遂は認定されたにもかかわらず、監護者は妻に指定されてしまい、連れ去り以降はまったく由紀にも会えず、安否に関しても情報が遮断された‟完全断絶”状態にあります。裁判長のことは一生許せません」  中村氏は未成年者誘拐罪・殺人未遂罪・虚偽告訴等罪で、警察に告訴状も出しているという。 「私は精神科医ではありませんが、医療系の人間なので、妻は何かしらの人格障害を患っていると確信しています。相談窓口で態度が急変する妻に対して、精神科医が境界性人格障害との診断を下している行政記録が残っています。にもかかわらず、私が警察から悪者に仕立て上げられました」  中村氏は現在も心臓を患い闘病しながらの裁判を続けている。 <取材・文/田口ゆう>
立教大学卒経済学部経営学科卒。「あいである広場」の編集長兼ライターとして、主に介護・障害福祉・医療・少数民族など、社会的マイノリティの当事者・支援者の取材記事を執筆。現在、介護・福祉メディアで連載や集英社オンラインに寄稿している。X(旧ツイッター):@Thepowerofdive1
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