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“フリマアプリ全盛”でもしぶとく生き残るハードオフ。“メルカリにはない強み”が背景に

時代の変化を読んで素早く行動するブックオフの底力

 ブックオフの書籍の販売額は2022年5月期、2023年5月期は前年割れ。2023年6月-2024年2月の販売額も前年同期間を1.8%下回りました。じりじりと減少を続けています。  ソフトメディアの販売額は横ばいが続いています。2023年6月-2024年2月はわずか1.0%の増加にすぎません。  好調なのがアパレルで、2023年5月期は2割増。2023年6月-2024年2月も14.6%増加しています。貴金属・時計・ブランドバッグ、家電も1割増となりました。これ以外に絶好調なのがトレーディングカードやプラモデルなどのホビー。2022年5月期の販売額は前期の1.6倍、2023年5月期が1.4倍、そして。2023年6月-2024年2月はおよそ1.2倍のペースで増加しています。ホビーの売上高は、3年ほどで全体の1割から2割を占めるまでに成長しました。  ブックオフは立ち読みOK、大量仕入れ・大量販売で、古本店の常識を覆しました。新古書店という新たなビジネスモデルを確立して業界トップに躍り出ます。巨大化した今もブックオフの市場に対する柔軟性は健在。出店形態も大きく変わりました。  新規出店したブックオフは、どれも本やソフトの他にホビーやトレカ、アニメグッズ、スマートフォンなどが陳列されています。かつてショッピングモールに小型の古本店を出店していましたが、現在は「あそビバ」という新業態を開発。トレカやフィギュア、アニメグッズなどの専門店に切り替えました。  ブックオフは古本店という殻を完全に破ったのです。

セカンドストリート買収という先見の明

 ゲオホールディングスも、今や主力は中古ゲームではありません。2023年4-12月の中古ゲームの売上高は、前年同期間比4.3%増の249億円でした。一方、衣料・服飾雑貨は同29.6%増の644億円となっています。  ゲオは2010年にセカンドストリートをTOBで子会社化しました。中古ゲームやレンタルの市況が伸び悩みを予想しており、総合リサイクルショップに活路を見出したのです。その戦略が奏功しました。買収には35億円を投じましたが、会社の成長を担う事業に育っていることを考えれば安い買い物でしょう。
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フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界
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