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“ユニクロの対極をいく”アパレル企業が、「創業から5年8ヶ月」で新規上場した納得の理由

D2Cのメーカーがしばしば陥る「死の谷」問題とは

 前述の通り、ユニクロは万人に受ける製品を作るが、yutoriが展開するブランドはそうではない。同社は個性的なデザインや独特の素材を使用した、独自性の高い22のブランドを立ち上げていることが特徴だ。  そして、 ひとつのブランドを大きく育てると言うよりは小規模なブランドを連続的に立ち上げることを目指している。これは、D2Cのメーカーがしばしば陥る「死の谷」という問題への解決策でもある。 「死の谷」とはなにか説明しよう。  ひとつのブランドの売上が上がれば上がるほど、コアなターゲットではない新たな顧客への訴求が必要となり始め、次第にブランドコンセプトが薄まっていく。  また、立ち上げ時期は創業者であるハイパフォーマーがやりくりできるが、いよいよ従業員を雇い始めると、一時的に組織全体を見たときに一人当たりの生産性が落ちる。加えて、売上があがると競合も増えるため、広告の費用対効果が悪くなっていく。  その結果、売上が上がれば上がるほど利益率が落ちていく現象が起き始める。これが「死の谷」である。

「ひとつのブランドに依存しない形」を確立

 ただし、単に未来永劫売上が低迷するのではない。そこから利益率は低いものの、売上が拡大し、50億から100億円の売上になったとき、TVCMや芸能人などのマスメディアを利用できるようになると、広告の費用対効果も上がってくる。  すると、スケールメリットが発生し、利益率があがり、この谷から脱出できるのである。だが、yutoriは、すべてのブランドが「死の谷」を乗り越えなくとも全体で売上が立つ戦略を打っている。  事実、yutoriの代表である片石貴展社長も、複数のメディアで「すべてのブランドが売れなくてもよいと思っている」という発言をしている。  つまり、個々のブランドは「死の谷」を乗り越えられていなくとも、3億円ぐらいの売上を10個つくって30億円で売れるという方向性を目指しているのだ。
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トレンドの影響を受けない体制を確立
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EC・D2Cコンサルタント、Amazon研究家、株式会社GROOVE CEO。慶應義塾大学環境情報学部卒業後、新卒採用第1期生としてアマゾンジャパン合同会社に入社、出品サービス事業部にて2年間のトップセールス、同社大阪支社の立ち上げを経験。マーケティングマネージャーとしてAmazonスポンサープロダクト広告の立ち上げを経験。株式会社GROOVEおよび Amazon D2Cメーカーの株式会社AINEXTを創業。立ち上げ6年で2社合計年商50億円を達成。Youtubeチャンネル「たなけんのEC大学」を運営。紀州漆器(山家漆器店)など地方の伝統工芸の再生や、老舗刃物メーカー(貝印)のEC進出支援にも積極的に取り組む。幼少期からの鉄道好きの延長で月10日以上は日本全国を旅している

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