更新日:2024年05月29日 22:23
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“発達障害専門”のフリーペーパーが創刊から部数3倍に。編集長に聞く「当事者だからわかる」成功の秘訣

発達障害へのネガティブなイメージをどう思う?

発達障害に特化したフリーペーパー 発達障害に対する世間のネガティブなイメージについても、どう思うかを聞いてみた。 「ネガティブなイメージはしょうがないですよ。私自身の過去を振り返ってみても、迷惑かけてたなって思いますもん。ただ、お互いが知らないから怒ってる部分もあると思うんですよ。こういう特性だというのは当事者も知るべきだし、健常者も知ってほしいですね。『こうしてほしい』という希望を言い合っているだけで、お互いを知るところまで歩み寄れていないから大変なことになってる印象があるんですよ。  発達障害の前提を共有していれば、職場でも『これが苦手らしいから、得意なことだけをやらせてあげよう』とかできますよね。私みたいなタイプだったら『いつ仕事に来てもいいし、在宅でやってもいいから、期限にだけは間に合わせてね』って言ってくれたらすごい楽に仕事できたりとかするので」  フリーペーパーを運営していれば当然、原稿料や印刷代などの制作費がかかる。ポケットマネーの持ち出しも含め、“お金周り”も気になるところだ。

今は広告掲載だけで回っている

実はポケットマネーからの持ち出しはないんですよ。創刊号は知り合いの小説家に出資してもらいましたし、今は広告掲載だけで回っています。私の作業時間を考えたら大赤字ですけどね(笑)。それを考えたとしても広告掲載が増えてきていますし、私が全てデザインした『凸凹といろ。』を季刊誌として定期的に発行していることが、そのままポートフォリオにもなって、私自身の信用にもつながっているんです。  出稿企業様がそのまま別の仕事をくださったりもして、さまざまな面でプラスに働いているので『凸凹といろ。』だけで収益を出そうということはあまり考えてないですね。ライターや営業の方にはお金ではなく、物で対価を差し上げています。単発でプレゼントを贈ったり、特に頑張ってくださった時はギフトカードをお渡ししたりしていますね」  スタッフが音信不通となったり多少の誹謗中傷を受けたりする苦労もありながら、それでも発行を継続する原動力はなんだろうか。 「インタビュイーや執筆してくださる方が目的や夢を持っていて、楽しく前向きにやっているのを見てほしいからです。発達障害の人って、他人の機嫌を損ねたとか、仕事でとんでもないミスをして鬱になったとか、人の機嫌を悪くしてパワハラに遭ったとか一度は経験したことあると思うんです。そういう状況に陥っていた人たちがどうやって前向きになるきっかけを得たのか、その“過程”を知ってほしいです」
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障害者雇用でIT企業に勤務しながらの兼業ライター、小説家。ビジネス実務法務検定2級、行政書士試験合格済み。資格マニアなのでいろいろ所持している。バキバキのASD(アスペルガー症候群)だが、パラレルキャリアライフを楽しんでいる。Xアカウント名:@writer_nobuoka

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