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「真面目な話をすると、いつも喧嘩になって…」ウーマン村本大輔が語った“亡くなった父への想い”

英語での発信の先に

ウーマンラッシュアワー村本大輔――お父様には「お笑いで世界を変えたい」とおっしゃっていましたね。 村本:あのシーンは、本当は「使って欲しくない」と言ってたんですよ…。たまに帰って真面目な話をすると、いつも喧嘩になって…。敦賀駅からサンダーバードで大阪に帰る時に泣きながらお父さんに謝るといういつもの流れでした。一応ごめんなさいとは言ったんですけど。  監督は「いい親子に見えた」というので、残すことにしました。父は亡くなりましたが、今、振り返ると、2人で写真を撮るようなことも少なかったので、映像に残って良かったです。 ――今、お笑いで世界を変えられるという手応えは感じていますか? 村本:日本語で漫才をしていたら、日本人にしか聞いてもらえませんが、英語でやっていれば、たくさんの人たちに聞いてもらえる。アメリカ人だけではなくて、英語がわかるアフリカやヨーロッパの人たちにもリーチできます。  そして、僕のスタンダップ・コメディを聞いた人が増えれば、おのずと思考が世界のほうに行くと思います。社会問題に無関心な人を減らせるのではないかと。その時に僕が何を言うのかですね。まだ、ヨチヨチ歩きのひな鳥の段階なので、何とも言えません。 ――今後の目標についてお聞かせください。 村本:熊本に20代でアメリカに行ってそのまま過ごして、最近帰ってきた仲の良いおじいちゃんがいます。その人に最近、「そんなに頑張らなくていい」「失敗してもいい、駄目だったら帰ってきたら」と言われて。風の吹くままに生きよ、ということなのですが、今はそう思ってます。  今日笑いを取る、明日ももっと笑いを取る。大事な言葉を紡いで、自分が取ったことのない取り方でその日一番の笑いを取る。それを繰り返していたら、辿りつくべき場所に辿り着くのではないかと。

笑いとは「安心」

ウーマンラッシュアワー村本大輔

『アイアム・ア・コメディアン』が全国で公開中の村本大輔さん

――村本さんにとって「笑い」とは何ですか? 村本:笑いは安心です。例えば、沖縄でもライブをしましたが、笑いを取ったからといって沖縄から基地がなくなるわけではないのに、笑うとみんなホッとする。基地に囲まれて常に緊張しているので、笑うと安心するのかもしれません。  ウクライナのコメディクラブも行列ができ、大盛況です。これが日本だと「兵隊さんががんばっているのに不謹慎だ」となってしまう。日本人は不謹慎が大好きですよね。  でも、笑いは不謹慎なものではありません。本当は笑うことが一番の安心なんです。子どもの頃、両親が喧嘩してるときに僕は弟たちに冗談を言って笑わせていました。これから世界中の多くの人に「安心」を届けたいです。 <取材・文/熊野雅恵 撮影/萩原美寛> 【村本大輔】 1980年、福井県生まれ。2008年9月に中川パラダイスとお笑いコンビ「ウーマンラッシュアワー」を結成。2011年「ABCお笑い新人グランプリ」最優秀新人賞を獲得、2013年「第43回NHK上方漫才コンテスト」「THE MANZAI 2013」で優勝を果たす。2023年にアーティストビザを取得し、2024年より「世界的なコメディアンになる」と宣言し、活動の拠点をアメリカに移している。講演会やスタンダップ・コメディのライブといった活動を積極的に行っている
ライター、合同会社インディペンデントフィルム代表社員。阪南大学経済学部非常勤講師、行政書士。早稲田大学法学部卒業。行政書士としてクリエイターや起業家のサポートをする傍ら、映画、電子書籍製作にも関わる。
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