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「真面目な話をすると、いつも喧嘩になって…」ウーマン村本大輔が語った“亡くなった父への想い”

「恥ずかしい」を捨てて

――劇中には保守的な考えのお父様も登場しますね。 村本:父はいい人ですけれども「恥ずかしいことをするな」というのが口癖の人でした。ちなみに僕がアメリカに行って捨てたのは「恥ずかしい」という気持ちです。  この間、バーにすごいきれいな女性がいて、たまたまそこで仲良くなった男性と「あの女性はきれいだよね」という話をしていたんです。彼は「声掛けてくれば?」と僕に言ったのですが、「英語できなくて恥ずかしいし、ムリムリ…」としり込みしてしまって。  すると彼は「ただきれいだねって言えばいいんだ」と言ってくれて。それで酔った勢いで「隣の彼が話あるらしいよ」と言った後に「So Beautiful」と言ったら、その女性は「OK, OK」と言ってスッと背中を僕に向けたんです。その時に「恥ずかしい!」と思ったのですが、次の瞬間「この恥ずかしいは要らないかもしれない」と思い始めました。声を掛けただけで満足だったので。  日本では小さな時から親からも周りからも「恥ずかしい」と思う気持ちを刷り込まされている気がします。例えば、「朝生」に出る時も「何にも知らないのに出ると恥を掻くよ」と言われました。恥を掻いたらその時に学べばいい、という発想にはならないんです。

母校での講演で出会った男の子

ウーマンラッシュアワー村本大輔――言っているほうはアドバイスなのかもしれませんが、言われたほうは委縮してしまいますね。  福井の僕の母校の中学校で講演会をしたのですが、質問タイムの時に、いがぐり坊主の男の子が「はい!」と手を挙げたんです。その時にみんな静まり返ったんですよ。普通は手を上げたらクスクス笑うじゃないですか。ところが、すっと手を挙げて、みんながシーンとして。 「俺に似てる」と思っていたら「お笑い芸人になりたいんですけど、どうしたらいいですか?」と質問しました。そして、彼は講演会が終わった後に「サインを下さい」と僕に言いました。  彼は僕から「サインをもらう」という話をお父さんにしたら、「お前だけ恥ずかしいことするな。みんなもらわないだろ」と怒られたというんです。そして「僕は恥ずかしいんですか?」と聞かれました。  それは絶対に不要な「恥ずかしい」ですよね。日本は他にも要らない「恥ずかしい」が溢れています。例えば、女性が強姦されて「恥ずかしい」と思う気持ちも。悪いのは加害者で、その女性は犠牲者です。にもかかわらず「恥ずかしい」と思ってしまうのはなぜなのかと…。アメリカでは「要らない恥」を捨てています。
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英語力低下の原因は
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ライター、合同会社インディペンデントフィルム代表社員。阪南大学経済学部非常勤講師、行政書士。早稲田大学法学部卒業。行政書士としてクリエイターや起業家のサポートをする傍ら、映画、電子書籍製作にも関わる。

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