“退職金2000万円上乗せ”で早期退職した56歳の後悔。「とにかくヒマで」2年で浪費した額は…
同じような意見ばかりを耳にしていると、つい「そうかもしれない」と自分にとってラクな方向へと舵取りをしてしまうことはないだろうか。今回は、まさにそんな体験をして後悔する佐藤徹さん(仮名・当時56歳)に話を聞いた。
数年前までは中小企業で管理職として働いていた佐藤さん。当時、勤めている会社が早期退職者を募っていることは知っていたが、とくに打診はされていなかった。それでも心の中にはボンヤリと、「早く退職して悠々自適な生活をしたい」という気持ちもあったとか。
「そんなとき、別の会社で働いていた同年代の友人たちと飲み会をする機会があり、早期退職を勧められていることを知りました。飲み会に参加したのは、5人。なんと、そのうち3人が早期退職を勧められていて、僕ともうひとりは聞き役のような状態になりました」
そして3人の愚痴を聞いているうち、自分も同じような状況で怒りや悔しさを覚えたときの出来事が自然と頭の中に思い出され、重なっていく。そして、自分の中に閉じ込めていた不満や怒りが沸々と込み上げてきたとか。
「とくに、僕と同じ立場だった同年代のヤツが帰ったあとは、それぞれが働いている会社に対する不満と愚痴の言い合いでした。そして盛り上がり、次の飲み会についても約束してしまったのです。飲み会が増えるに伴い、不満や愚痴は激しくなっていきました」
上司には「部下の管理ができていない。もっときちんと教育するように」と責められるし、部下からは「これってパワハラですよね?」と遠回しに迫られる日々。勤務時間内に終わらなかった部下の仕事はタイムカードの退勤を押してから、佐藤さんがこなしていた。
「残業をしていると上司から怒られますし、だからといって部下に残業を振り分けようとするとパワハラのような言い方をされる。胃が痛い毎日を送っていたので、同年代の3人には大きく同意できる部分がありました」
そしてだんだん「退職まで早くて約4年。再雇用で働いたらあと9年近くもある。早期退職すれば、退職金代わりに2000万円ちかくもらえるし、投資で稼いだ資産もある」などと考えるようになり、ついには独り身ということも手伝って早期退職を決意してしまう。
ぼんやりと働く管理職の男性
飲み会の勢いで早期退職に応募
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フリーライター。ライフ系や節約、歴史や日本文化を中心に、取材や経営者向けの記事も執筆。おいしいものや楽しいこと、旅行が大好き! 金融会社での勤務経験や接客改善業務での経験を活かした記事も得意
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