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“不動産投資”の闇。業界で横行する悪徳な手口とその実態

物件の購入前後で情報が食い違うトラブルも

不動産 また、不動産業界では、購入の申し込みを入れていた物件が白紙になってしまったり、事前に聞いていた情報と大きく異なるというトラブルも発生しています。  事例を挙げると、仲介業者が当社に物件を紹介してくれた案件があり、それがとても魅力的だったために即申し込んで、買う方向性で話を進めていました。  それが、売り主側のレスポンスが次第に遅くなってしまって……。  なんだか雲行きが怪しくなってきたなと思っていたら、「今期の予算はもう達成したから来期に物件の販売を後倒しにする可能性が出てきた」と切り出され、最終的には「売らない」と言われてしまったんです。  ほかにも、私がアグノストリを設立した1年目に、財閥系不動産会社と売買の取引があったのですが、「事前に聞いていた話と違っていたこと」がありました。  物件の売り主側に財閥系不動産会社、買い手側にアグノストリが入り、交渉の末、売り主側に事前の留意事項を全て確認した上で売買が成立。  そして両者押印を終え、あとは所有権が移転される引き渡しの日まで待つのみでした。  ところが決済の前日になって突如、「重要事項契約書に記載されている文言が間違っていた」と電話がかかってきたんです。  売り主側が物件のワンフロアを自社利用していて、新しい買い手に物件が渡っても賃貸借契約で定めた2年間はテナントとして残る「リースバック契約」を交わしていたのですが、「退去時の現状回復はしない」という話を急にされたんです。  ワンフロア分を現状回復させるには、ざっくり試算しただけでも2000万円くらいかかるのは事前にわかっていました。なので、それを急に引き渡し日の直前に言われても「意思決定に関わる前提条件が異なっていた」という理由で白紙解約できると思ったら、「それはできない」と拒否されてしまって。  結局は決済したのですが、事前に聞いていた情報と明らかに違うのはおかしいと思わざるを得ませんでした。  これを防ぐには、売り主側と買い手側で直接やりとりを行うか、あるいは仲介業者が1社だけ間に入って、両者を取り持つことです。しかし、不動産投資の中でもビルの売買はワンショットが非常に大きいので、素性の知れないブローカーが入りたがることがよくあり、それが業界としての闇(問題)につながっていると言えるかもしれません。

“自分の感覚”で不動産投資すると失敗しやすい

不安で悩む日本人男性 他方で、不動産投資は“買い手側の問題”も当然あると個人的には思っています。  不動産は事務所などで“自分たちが使うもの”になってくるので、株式投資のように合理性だけでは判断できず、たいていは“自分の感覚”が入ってきます。  たとえば、いざ不動産を買う際に「築浅がいい」とか「坪面積が広い立派な物件がいい」などの理想が邪魔をしてしまい、正確な意思決定から遠ざかってしまうんです。  周辺相場を理解し、不動産価格の上昇余地を織り込んだ上で不動産を購入すればいいのに、そんな自分の感覚に頼ってしまい、正しい判断ができないのは、業者だけでなく、買い手側の問題でもあるんです。  株式投資やM&A(企業買収)は、売り上げ利益を伸ばせる見込みがあるからこそやるわけですし、不動産投資もそれらと同じスタンスで本来は臨むべきものです。  しかし、実際には手堅く合理的に不動産投資を行わずに、自分の感覚に頼りきってしまう人が多いように感じていますね。 <構成・文/古田島大介>
株式会社Agnostri(アグノストリ)代表取締役社長。1989年、東京都出身。小学校から高校1年まで野球を続け、厳しい監督に鍛え上げられる。22歳で事業系不動産に特化した不動産売買の会社に就職。中小企業の経営者をターゲットに、ビル売買の営業開拓を実施。その後大阪支店・名古屋支店の立ち上げに携わる。最終的に東京で課長職に就任。会社員時代は1人で50億円を販売しトップセールスに。2018年に独立し、東京都千代田区にアグノストリを設立。会社設立後、年間100億円ほどの売買を締結。著書に『2%の人しか知らない、3億円儲かるビル投資術』(ぱる出版)、『御社の新しい収益基盤を構築する 区分オフィスビル投資術』(ビジネス教育出版社)がある。X(旧Twitter):@agnostri_aoki
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