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「お化けだ」「気持ち悪い」生まれつき“顔のアザ”に悩んだ男性が語る半生。精神疾患になる人も

本屋で闘病記や図鑑を読み病名を知る

 中学生に入ると学がつき、世の中のことも分かってきた。 「アザをどうにかしたいと本屋で本を読み漁りました。昭和50年頃には、ガンなどの闘病記が出始めた頃でした。アザのある人の本はないかと探し、世界大百科事典を読み、自分の顔のアザが単純性血管腫と呼ばれるものだと知りました」  治せるなら治したいと思い、2~3年が経つ。 「SF小説をよく読んでいたので、当時の日本は、技術は進歩する雰囲気があると思いました。きっと治るんじゃないかと楽観的に考えていました

フランケンシュタインのような術後写真

ユニークフェイス石井政之 高校に入学すると、母親と名古屋大学付属病院の形成外科を受診する。形成外科では、先天性または後天的に生じた身体組織の形態異常や欠損などに対し専門的な治療を行う外科系診療を行う。のちに高校1年生で自分の意志で受診する当事者はあまりいないと知ることになる。 「MRIやCTなどはなかったので、医者の触診のみでした。『治るよ、石井君』と言われましたが、医者の言うことを真に受ける子ではなかったので『証拠を見せてください』と言いました」  医師は「ホントはダメだけど……」と言いながら、ファイルのケースからアザの治療をした男性の顔のBefore・Afterの写真を取り出して見せてくれた。ファイルには、顔半分に皮膚移植をした、まるでフランケンシュタインのような顔をした術後写真があった。左右非対称のその顔は治ったようには見えなかった。
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顔の形成手術はしないと決断
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ライター。webサイト「あいである広場」の編集長でもあり、社会的マイノリティ(障がい者、ひきこもり、性的マイノリティ、少数民族など)とその支援者や家族たちの生の声を取材し、お役立ち情報を発信している。著書に『認知症が見る世界 現役ヘルパーが描く介護現場の真実』(原作、吉田美紀子・漫画、バンブーコミックス エッセイセレクション)がある。X(旧ツイッター):@Thepowerofdive1

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