恋愛・結婚

「高級クラブの美人ママ」が常連客の“モテない50代サラリーマン”と結婚した意外な理由

彼からの“思いがけない告白”

蒼井凜花さん

六本木の元クラブママであり、現在は作家・ライターとして活動している蒼井凜花氏

 美咲さんは、自分は雇われママで、オーナーから「もっと売り上げを伸ばせ」とプレッシャーをかけられていること、心療内科で睡眠導入剤や抗不安剤を処方している旨を伝えたという。 「クラブのママとして『お客さまに夢を売る』ことを念頭に頑張ってきましたが、もう限界でした。これからの人生を考えた時、夜の仕事を辞めたいと思ったんです。何度もオーナーと話し合いましたが、『最低でもあと2年は頑張ってほしい』との要望があり、その言葉を聞いてさらにツラくなってしまって……。その件を和弘さんに話すことにしました」  和弘さんは親身になって聞いてくれ、「僕が力になるから」と弁護士を紹介してくれたという。同時に、「自分はこんな風貌だから女性とは縁がなかった。もし、美咲さんの仕事に決着がついたら、結婚を前提に付き合ってほしい」と思いがけない告白をされた。  美咲さんにとって晴天の霹靂だった……。ただ、店はやめたいが、だからと言って結婚を受け入れるわけにはいかない。 「和弘さんは『何年でも待つよ』と言ってくれたんです。そして、『無理なら潔く諦めるから、まずは弁護士に相談に行こう』と事務所まで付き合ってくれました。弁護士には、通院しているクリニックから診断書を発行してもらうことを勧められました。私の場合、不眠や偏頭痛、精神不安などの症状があったので『適応障害』と記載してもらいオーナーに提出し、その結果、2カ月間の休職を得ることができたんです」

自宅に行ってみることにした結果…

 美咲さんは続ける。 「引継ぎ期間を終えて、やっと休暇に入った時、横浜市内にある和弘さんの自宅マンションを訪ねました。お客さまの自宅に行くなんて初めてで……。でもそこで、唖然としました。1LDKのマンションには、大量の書物が雑然と置かれ、デスクには書類の山。とても女性を呼ぶ部屋ではありません。彼がこれまで結婚できなかったのは、イケメンとは程遠い容姿とともに、片づけられない性格が関係していたと確信しました」  美咲さんは「女性を招くなら、この部屋はNGよ」と告げると、彼は深く謝罪をして、意外なことを打ち明けてきた。 「驚きました。印刷会社の社員である一方で、子供時代から憧れていた作家になって5年だというんです。最初は自費出版だったのですが、それが大手出版社の目に留まり、定期的に作品を世に出していることも知りました。ただ、会社員という立場上、副業で作家をしていることは内緒で、中性的なペンネームにしていると言われたんです」  年収は1千万円を超え、横浜市内にあるマンションも分譲だという。 「彼のペンネームを検索すると、ミステリー作家として多くの作品を出していることがわかりました。そして『いずれは作家一本でやっていきたい』という夢も教えてくれたんです」  これを機に、美咲さんの気持ちが大きく傾いた。実は「冴えないサラリーマン」だと思っていた彼が、多くの読者を獲得している作家だったのだ。博識なのは子供時代から多くの書物に触れてきたからだろう。
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結婚を前提とした交際を始めたワケ
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元CAの作家。日系CA、オスカープロモーション所属のモデル、六本木のクラブママを経て、2010年に作家デビュー。TVやラジオ、YouTubeでも活動中。
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