恋愛・結婚

「高級クラブの美人ママ」が常連客の“モテない50代サラリーマン”と結婚した意外な理由

結婚を前提に交際を始めたワケ

クラブ だが、部屋を片づけられない問題はクリアできたのだろうか? 「実は、東北に住む私の母が塾講師で、家には常に大量の本とプリント用紙であふれかえっていたんです。私は父の性格を受け継いだのか、掃除が好きで片づけ上手。なので、その日は和弘さんの部屋の掃除をしてあげました。本の整理をしているうちに、私の好きな山崎豊子さんの本がたくさん出てきて、『白い巨塔』や『沈まぬ太陽』、『不毛地帯』などの話で盛り上がりましたね」  予想外の共通点と美咲さんの掃除好きもあって、ここからは急展開。結婚を前提とした交際が始まったのだ。 「和弘さんには、『私が休職中も、店には時々通ってあげて』とお願いしました。そして、彼が作家として独立できるよう、身の回りの世話をしてあげたんです。また、結婚を前提に交際している男性がいることを実家の母に伝えました」  美咲さんの父はすでに亡くなっていたため、母だけへの報告となった。 「ネットで検索した母も『なぜ、そんなにすごい作家さんが、今まで独身なの?』と聞かれましたが、さすがにモテない人生を歩んできたとはいえず、『仕事が忙しくて婚期を逃したみたい』と返答したんです。これを機に、お店を辞めたくて悩んでいることも打ち明けたところ、母がオーナーに電話をしてくれました。塾講師をしているだけあって、母は論理的かつ情に訴える話術が巧みで、最終的には健康上の理由で円満退店できました」

結婚はタイミングも大切

 そして、関西に住む和弘さんの実家にも挨拶に行き、とんとん拍子に結婚が決まったという。 「見方によっては、ママ業を辞めたいから結婚に逃げたんでしょう? という人もいるかもしれません。事実、彼がミステリー作家の一面があったからこそ、結婚への拍車がかかったとも言えます。ただ、何事もタイミングって大事ですよね。夜の仕事をしている時、私は本当に心身を病んでいました。でも、彼に出会って逃げる勇気をもらえたから今の健康的な日常がある。彼が救ってくれなければ、私はあのまま心身を病みながら夜の世界から抜け出せなかったでしょう」  現在、美咲さんは経済面でも夫に頼りすぎないようクラブママの経歴を活かして、ネットで「婚活アドバイザー」をしているという。そして和弘さんも作家として独立することができたとのこと。  夜の店には、噂話や自慢話をする客が多いからこそ、和弘さんのように謙虚で愛される人柄の男性がクラブママにモテるのだろう。 文/蒼井凜花
元CAの作家。日系CA、オスカープロモーション所属のモデル、六本木のクラブママを経て、2010年に作家デビュー。TVやラジオ、YouTubeでも活動中。
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