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タイに移住、ギャル男から経営者へ。36歳男性が明かす“バンコクで働くこと”のリアル「ギリギリの生活をして本当に幸せなのか」

タイでのビジネスは楽じゃない…

TJ

仕事中の様子(提供写真)

しかし、コロナ禍によってYouTubeの収益は一時1/4にまで減少し、動画撮影も困難な状況となってしまった。そこで、将来を見据えて新たな挑戦を決意し、立ち上げたのが広告代理店「TNJC CO.,LTD」だ。 「当初は小規模な運営でしたが、2023年から本格的にスタッフを増員し、現在はSNSマーケティングやコンサルティング、インフルエンサーのキャスティングなどの事業を展開しています。しかし、請求書やインボイスを細かくチェックせず、現場に任せきりにしていた結果、当時のマネージャーの不正が発生したんです。その経験からスタッフ管理の方法を大きく見直し、日々の報告や連絡を徹底するようになりました。タイ人スタッフの管理には苦労も多いです」 さらに、昨年12月にはシーナカリンエリアのコヨーテクラブ(コヨーテ嬢と呼ばれるタイのダンサーが行うショーや生演奏バンドがあるクラブ)『The Secret』の出資者となった。お酒を飲むことが好きで、交流の場となる飲食店を開きたいという思いがあったからだと語る。 「最初はスクンビットエリアで開業を考えたんですが、競合が多く、家賃が高いし、店舗も狭い。シーナカリンは外国人経営者や駐在員が多く、タイ人の所得が上がってきているため、ローカル(地元民)や中国人観光客をターゲットにした方が生き残れると判断したんです。ただし、店舗のオープンは簡単ではなく、ライセンス取得に時間がかかって大変でした」

バンコクの物価は大きく上昇、低賃金でギリギリの生活をして本当に幸せか?

TJバンコクに住んで今年9年目となるTJさん。初めてタイに来た頃に比べると、タイの物価は大きく上がっているという。 「交通費や食費は10年前の1.5倍〜2倍になっています。日本食レストランも10年前に比べてすごく増えていますし、味のレベルも値段も上がっています。特に日本式の焼肉店は安いところでも1,500〜2,000バーツ(約7000円~9000円)はするので、気軽に行けるような感じではありません。日本人との交流を増やしたいと思っても、そういった場所に参加できないと難しいのが現実です。やっぱり、ある程度経済的な余裕がないと、日本人同士のつながりを作るのも難しいと感じます」 「日本人の最低賃金は5万バーツ(約22万円)」とされているが、学歴や手に職がない場合、あるいはタイ語が話せない場合は、仕事を見つけるのはかなり難しいようだ。 「現地採用の需要も年々減っていて、企業側も日本人よりも外国語を話せるタイ人を雇う方がコスパがいいと考えています。 収入が少ないなかで毎日、屋台で食べるなど、ローカルの生活に馴染む覚悟は必要かもしれません。ただ、そもそもタイ、特にバンコクでギリギリの生活をして本当に幸せなのかどうかは改めて考える必要があるのではないかと。もちろん、良い仕事に就きたいなら、やっぱりバンコクはチャンスが多いですよ」 また、これからタイでの仕事を考えている日本人に向けてメッセージも聞いてみた。 「自分がどこまで通用するのか試してみるつもりで、タイで1〜2年ぐらい生活してみるのがいいと思います。ただ、しっかりと下調べをしないと、同じ日本人に騙されたり、トラブルに巻き込まれたりするリスクもありますので、そこは注意が必要です」 【TJ】 埼玉県出身、36歳。登録者数32万人以上のYouTubeチャンネル「TJ Channel Thailand」を運営。タイの観光地、グルメ、アクティビティ、ナイトライフなど、タイに関連する様々な情報を発信する。バンコク在住でタイ法人TNJC CO.,LTD.代表を務める傍ら、コヨーテクラブの経営にも関わる。 <取材・文・撮影/カワノアユミ>
東京都出身。20代を歌舞伎町で過ごす、元キャバ嬢ライター。現在はタイと日本を往復し、夜の街やタイに住む人を取材する海外短期滞在ライターとしても活動中。アジアの日本人キャバクラに潜入就職した著書『底辺キャバ嬢、アジアでナンバー1になる』(イーストプレス)が発売中。X(旧Twitter):@ayumikawano
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