優秀な営業マンの裏切り行為に愕然…ライバル企業に情報を洩らし、顧客も流出。難しい「同業他社への転職」の制限
給与形態が年功序列である企業は、いまだに数多く存在する。ゆえに、腕に自信のあるビジネスパーソンが、より良い条件を提示する新天地に移るのは、やむを得ない話である。
就業規則や退職時に「何年間は同業他社に入社しない」という誓約書を書かせて制限をかけることもあるが、当然それでも限界はある。増本光さん(仮名・30代)は、かつて突如転職した同僚が面倒な事態を引き起こしたのだと、ため息をつく。
増本さんは都内のIT企業で営業マンとして勤務するサラリーマン。主にシステムを取り扱う仕事をしている。
「あるシステムの導入販売を担当しています。手前味噌ですが、飲食チェーン店で使ってもらっていたこともあり、業績は好調でした」
好調だった増本さんの会社だが、あるときからライバルのB社の名前を聞くことが増えたそうだ。
「正確な日付は覚えていないのですが、あるときを境に『B社に入れ替える』という会社が増えました。なぜなのか理由を聞くと、うちのシステムではできない機能を持っていると。たしかに、そこは欠点ではありましたが……。最初は、うちのユーザーを社員として入社させたのかなと思っていました」
シェアを奪われ始めた増本さんの会社に、激震が走る出来事が。
「営業成績がトップで、客先からも信用されていた渡辺(仮名)という社員が退職したんです。理由は『ほかの仕事がやりたくなった』ということでした。かなり引き止めたようですが、聞き入れられなかったようです。人当たりも良く、社内でも信頼される社員で、『渡辺さんが担当してくれるなら買う』というお客さんもいました。
その後、退職したにもかかわらず、渡辺が細やかなアフターケアをしていることがわかりました。それは営業としての業務範囲を超えるもので、『渡辺さんはやってくれていたのに、なぜやってくれないんだ』と言われることが増えて。『それは渡辺が個人的にやっていたことなので』とケアはしませんでした。それも、B社に入れ替えられてしまう要因かなとは思っていました。
半年ほど経過したある日、懇意にしているお客さんから『渡辺さんがB社の営業として来たけど、知ってるの?』と連絡がありまして。つまり、渡辺は『ほかの会社に行く』といいながら、実はライバルのB社に入社していたわけです」

画像はイメージです
ライバル企業にスライドする取引先が増加
優秀な同僚がまさかの裏切り
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複数媒体で執筆中のサラリーマンライター。ファミレスでも美味しい鰻を出すライターを目指している。得意分野は社会、スポーツ、将棋など
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