仕事

優秀な営業マンの裏切り行為に愕然…ライバル企業に情報を洩らし、顧客も流出。難しい「同業他社への転職」の制限

顧客情報やシステムの不備を転職前から横流し

会社が調査してみると、渡辺さんはA社に籍があった時代から、B社に情報を流していた形跡があったのだという。 「複数の客先に聞いてみたところ、やはり渡辺は営業をかけているようで、顧客リストを退職時に持ち出したのではないかという疑念が生まれて。また、情報システム部がメールのログを調べたところ、渡辺からB社のある人物にメールを送っていたことがわかりました。案の定、渡辺がうちの欠点をB社に伝え、より完璧なシステムが完成したところで転職したようなんです。それならなぜ、『ほかの仕事がしたい』と嘘をついたのか……」 結局、どうなったのだろうか。 「本人を呼び出して事情を聞こうと電話をしましたが、番号を変えられてしまい、連絡が取れませんでした。会社として訴訟を考えているという話でしたが、その後はどうなったかは聞いていません。従順で真面目な仕事ぶりだった渡辺が、実は会社を裏切っていたという事実は、驚きでした」 ===== 同業他社への転職は、日本国憲法第22条「職業選択の自由」によって認められており、制限をかけることは、例外はあるものの、基本的にはできない。定期的な社員への声掛けや待遇改善、適法な形での抑止など、企業側が対策を講じる必要がある。 <TEXT/佐藤俊治>
複数媒体で執筆中のサラリーマンライター。ファミレスでも美味しい鰻を出すライターを目指している。得意分野は社会、スポーツ、将棋など
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