新型イプシロンはクライスラーのバッヂを見た瞬間萎える【ランチアオーナーの弁】
―[道路交通ジャーナリスト清水草一]―
新型イプシロンの登場を喜んだのも束の間、なんかヘン! それは新型のブランドがイタ車のランチアではなくアメ車のクライスラーだったから。なんでこんなことに? 自分の大好きなクルマが、ある日、違うブランドから登場したら許せる? それとも許せない? 現ランチアオーナーと元ランチアオーナーで考えてみました
MJブロンディ=文 Text by Shimizu Souichi
大子香山=撮影 Photographs by Daiko Kazan
◆アメ車ブランドから登場したイプシロンはアリなのか?
イタリアの名門・ランチア。ムソリーニ以来、イタリアの大統領専用車を務め、ランチア・ストラトスのようなスーパーカーや、デルタインテグラーレのような伝説的ラリー車も輩出した。
が、このたび日本で発売されたランチアの小型車イプシロンは、なんとクライスラーブランド! フィアットグループがクライスラーを買収したので、「そっちの名前で売りましょう」ということになったのだが、これはアリなのか!? 元ランチアオーナーのMJブロンディと、現ランチアオーナーの伊達軍曹が、ブランド論を戦わせた。
MJ「軍曹としては、クライスラー・イプシロンはアリかね?」
軍曹「ナシです。クルマ自体は素晴らしいですが、クライスラーのバッヂを見た瞬間に萎えます」
MJ「クルマ単体としてはすごく魅力的なんだよ。まずデザインが美しいし、フィアット500と同じ2気筒ターボのツインエアエンジンを積んでいて、楽しくて燃費がいい。しかも4ドアだから便利! 値段も235万円とかなり安い。これをせめてフィアットブランドで売ってくれたら、どんなに良かったか」
軍曹「同感です」
MJ「イタリア車好きはイタリア車だから買ってるわけで、それをアメリカのブランドで売られた日にゃ、自分を見失っちまう!」
軍曹「なぜこんなことをするのか、まったく理解できません!」
MJ「たださ、俺は今日このイプシロンを運転してて、『これもアリかな』と思ったんだ」
軍曹「マ、マジですか!?」
MJ「たとえばSPA!読者のサラリーマン諸君には、こだわりのブランドってあると思う?」
軍曹「……スーツはスーツカンパニー、カバンはポールスミスで十分。確かにブランドにこだわるということは、ほとんどないでしょう」
MJ「ブランドにこだわっていること自体が、男としてどうなのか。ブランドなんか考えず、いいクルマ、ステキなクルマ、美しいクルマに乗ればそれでいいじゃないか。そう思ったら、このクライスラー・イプシロンは、全然アリじゃないだろうか?」
⇒「新型イプシロン登場で再認識したクルマのブランドの重要性」に続く https://nikkan-spa.jp/355130

―[道路交通ジャーナリスト清水草一]―
1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高速の謎』『高速道路の謎』などの著作で道路交通ジャーナリストとしても活動中
この連載の前回記事
【関連キーワードから記事を探す】
この記者は、他にもこんな記事を書いています
日刊SPA!の人気連載