右翼がアイドルの養成を手掛ける理由――民族派右翼の思想家・牛嶋教授かく語りき【後編】

牛嶋徳太朗,右翼

牛嶋徳太朗教授

 芸能界を目指す学生のために、西日本短大が開設したメディア・プロモーション学科が今春1期生を輩出し、メディアに報じられたことから多くの話題を呼んでいる。

 同学科では学生同士がアイドルユニットを組んで活動中。AKB48を頂点とする“アイドル戦国時代”に殴り込みをかけた格好だ。「日本初」の試みは世間の耳目を集め、ひとまずは成功を収めたと言っていいだろう。ところが、思わぬところから疑問の声が上がったのだ。

 学生によるアイドルユニットの名前は「烈風」と「晴嵐」。今ドキの女のコのユニット名としては違和感が……。すぐさま反応したネット上には書き込みが相次いだ。「烈風と晴嵐って、旧日本軍の戦闘機の名称だろ。なんでこの名前つけたんだ?」「アイドル養成学科つくった人って民族派右翼らしい」「右翼アイドルかよw」……etc.

 確かに、烈風も晴嵐も旧日本海軍の戦闘機。そして、アイドルを養成する学科の長である牛嶋徳太朗教授は、生粋のファシストとして知られる民族派右翼の思想家だ。なぜ、右翼がアイドルを養成するのか……。取材班は、牛嶋教授ご本人に、真相のほどを聞いてみた。

「少子化によって文科省の方針が規制緩和され、各校が自力更生で魅力ある大学になりなさいということになった。そこで、本学には法科があるので、分科独立させて政治学をやることにした。政治学の範疇にはメディアも含まれる。例えば、早稲田の政経学部はもともと新聞学科でジャーナリストを養成していた。ならば本学はメディアで活躍する人材、つまりタレントを養成していこう、ということです。ただ、タレントスクールなど珍しくもないなか、大学がアイドルを養成するインパクトをもたらすにはどうすべきか……制服しかない!と思い至ったのです。そんなおり、デザイナーの山本寛斎氏との出会いがあり、ミリタリー調でデザインを依頼したのが本学科の制服なんです」

「大学全入」時代の生き残り策というわけだが、右翼×アイドルのコラボレーションの理由としては、いまひとつピンとこないが……。

「ひと言で言うなら、村上龍氏の小説『愛と幻想のファシズム』の“大学バージョン”。アイドルの養成という仕事に携わってから、僕は若返った(笑)。誤解を恐れずに言うなら、今やっているのは学生運動の延長。だから、アイドル個人には興味がない(笑)。社会現象としてのアイドルに興味があるんです。要は、芸能界という壁をいかに突破するか。今は2度目の学生運動をやっているようなもので、ウチの学科のこの制服は、僕にとっては楯の会の制服なんです」

 かつて牛嶋教授は、’70年に自衛隊の決起を促し、割腹自決を遂げた作家・三島由紀夫が民族派の学生を集めた民兵組織「楯の会」への参加を志したが、小柄ゆえ「徴兵検査で不合格」になっている。その後、関わった「学生運動」とは、もちろん左翼運動ではない。

 そして、俎上に載った『愛と幻想のファシズム』(’87年出版)は、軟弱な民主主義を徹底的に否定し、日本社会にファシズムの確立を目指す政治結社の活躍を描いた政治小説。牛嶋教授は自らアイドルを養成することで、旧弊や因襲が渦巻く芸能界に風穴をあける社会運動を志しているのだろうか……。

 そんな牛嶋教授の育てたアイドルたちが、6月に東京・青山でイベントを打つという。

「開催する6月5日は、ミッドウェー海戦の日。イベントのタイトルは『東京戦争』。芸能界の壁を突破する戦いの始まりです!」

 東京一極集中の芸能界に対して、民族派右翼率いるアイドルたちが、戦いの狼煙を上げる日はすぐそこまで迫っている。

【牛嶋徳太朗教授】
’51年、福岡県生まれ。民族派右翼の思想家。政治学者。西日本短大教授。早大政経学部在学中、三島由紀夫の楯の会の母体である早大尚志会に所属。楯の会への参加に挫折し、トラウマを負う。以降、真の新右翼の活動を展開

取材・文/齊藤武宏 撮影/遠藤修哉(本誌)




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