老害右翼に「NO!」を。愛国ラッパー、魂の叫び
森友学園や教育勅語問題など、“愛国者たち”に端を発する話題が世間を騒がしている。だが、その言動や行動は“健全なナショナリズム”の範疇を逸脱し、逆にこの国の形を歪めてはいまいか? 自身を「保守である」と自認する人々に、現在の“愛国者たち”の問題点を語ってもらった。
’14年に行われた都知事選で、候補者の一人である田母神俊雄氏の街頭演説カーに登場してラップを披露し、注目を集めた人物を知っているだろうか。“愛国ラッパー”を自称するShow-k(ショック)氏だ。「10代後半、キングギドラ、エミネムの影響でラップに目覚めた」という青年はその後、愛国心に目覚める。
「政権交代を成し遂げた’09年の衆院選で、僕は民主党に投票をしたんです。でも、尖閣諸島を巡る民主党政権の対応に違和感を覚え、もっと日本も主張していいんじゃないかと思い始めたんです」
そこからネットや衛星放送を駆使し、歴史や政治を勉強。その理由についてShow-k氏は「マスメディアの多くは偏った意見を流していて、視聴者は受け身になってしまうけど、インターネットはいろんな議論が活発だから」と語る。
そんな彼のラップは「遠慮はいらない堂々と/英霊に敬礼!!」(そうだ!靖国へ行こう!)、「相手に気遣い/結果どうなった??/中国様様/結果図に乗った」(中国批判ソング)などの言葉が躍っている。だが、そんな彼もまた、昨今の極端な右翼には懐疑的だ。
「僕はライブハウスだけでなく、右派政治団体のデモや靖国神社で路上ラップを披露しているのですが、理解されずに抗議を受けることも多い。重要なのはレッテル貼りすることではなく、自分で何が正しいのか考えて行動すること」
CDやネット配信、路上ライブなどさまざまな方法で自らのメッセージを発信し、「政治を語り合える仲間を増やしてきた」というShow-k氏。だが、政治の場では同じ右派からも偏見の目を向けられ、聞く耳すら持ってもらえなかったこともあるという。
「同じ思想の持ち主なのに、ラップをチャラいとかアメリカの音楽だと思い込んで否定から入られるのはツライ。そうゆう体験をすると『右翼』は固いなと感じたりもします。ただそれも徐々に変りつつあるとは思うけど、本来もっとバランス良くあるべきなんです」
【Show-k氏】
’85年生まれ。介護職に従事する傍ら、音楽活動に励む。尖閣諸島周辺での活動や終戦記念日に靖国神社でゲリラライブを行う。代表曲に「ミギミギ」「脱坂本龍一」など
取材・文/森祐介
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