もしも「アナと雪の女王」が原題のまま公開されていたら…
―[木村和久の「オヤ充のススメ」]―
― 木村和久の「オヤ充のススメ」その61 ―
先日、千原ジュニアがラジオで、アナ雪は原題のままがいい、みたいなことを言ってて、話題になっていた。でもね子供に見せる映画で「Frozen」じゃ売れないでしょう。日本は漫画・アニメ全盛で、キャラクター志向が強い。だからキャラクターを入れたタイトルの方がウケる傾向にある。簡単に言うと小説の類はストーリー性重視、漫画はキャラクター重視で、そのキャラクターがひとり歩きすれば、何年でも話がもつことになっている。
戦後はサザエさんに始まり、鉄腕アトム、ドラえもんと、みんなキャラクターがタイトルに入っている。その流れで、子供向けの映画の邦題はキャラクター入れまくりだ。「レミーのおいしいレストラン」なんか、原題はラタトォイユを指すフランス語の「Ratatouille」って、そんなの子供に分かるわけもない。「カールじいさんの空飛ぶ家」なんか「Up」の2文字が原題だから。子供にとっては、なぞかけにしか見えないだろう。
そんなわけで洋画を邦題にするときは、キャラクターを入れたタイトルにしがち。ただ例外もある。原題が登場人物の名前だったのに、分かりにくいから素晴らしいタイトルをつけた作品がある。それが「明日に向かって撃て」だ。原題はカタカナで書くが「ブッチ・キャシディ&サンダンス・キッド」という登場人物の名前だけ。アメリカじゃ素晴らしいタイトルとなって絶賛されている。特にサンダンス・キッドを演じたロバート・レットフォードは、ここからサンダンス映画祭の名を拝借している。
アナ雪は邦題のタイトルが秀逸だったのもあって、日本でも大ヒットになった。ストーリーだけみると、ただの姉妹喧嘩だけど、深みや、緻密さを与えたのは、制作総指揮をしたジョン・ラセターの貢献だとされている。話が長くなるので手短にいうと、ラセターは憧れのウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオズに入社するも、体質が古く、CG映画への移行などの意見書などを出していたら、解雇された経歴がある。
失意のなか彼はピクサーの前身会社に入るが、その時、経営サイドにいたのが、スティーブ・ジョブスだ。彼も自分の作った、アップルを追われていた。追われた二人が、ここでタッグを組み、その後、世界的偉人になるのだから、奇妙な巡り合わせですね。
そのラセターの、ピクサーでの活躍はあまりにも有名なのではしょるが、最近になって、その体質の古いディズニースタジオの面倒も見てくれとオファーがあった。というわけでアナ雪制作にあたり、ラセターが提言している、自由に意見を言うミーティング制を導入をした。そのおかげで風通しが良くなり非常に細やかな、深みのある演出が出来るようになった。氷の城を作るシーンなんか、圧倒的ビジュアルインパクトでゾクゾクしましたね。

木村和久
―[木村和久の「オヤ充のススメ」]―
トレンドを読み解くコラムニストとして数々のベストセラーを上梓。ゴルフやキャバクラにも通じる、大人の遊び人。現在は日本株を中心としたデイトレードにも挑戦。著書に『50歳からのかろやか人生』
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