更新日:2017年11月14日 14:33
お金

買うより難しい、中古マンション「売り」事情

― 木村和久の「オヤ充のススメ」その62 ―

 みなさんマンションや持ち家を売ったことありますか? これがなかなか希望通りの価格で売れなくてね。物件の良しあしに関わらず、苦労します。一応不動産には相場ってあるじゃないですか、その値段を提示しても、そんな簡単には売れません。過去にマンションを売ったことがあるので、その時の苦労話を聞いて下さいな。 マンションで最も難しい「売り」事情 まず物件ですが、代官山の1DKの事務所を売ろうと決めた。出版不況で自宅と両方を維持するのがしんどくなったからだけど、どうやって売っていいか全く分からない。そういえば、郵便受けにマンション売却を誘うチラシが入っていたっけなあ。そのチラシには「世田谷にお住まいの資産家の息子様が、都心にお部屋を探しています」とかさ「まもなく定年を迎える大手メガバンクの役員の方が、投資用にマンションをお探しです」とかさ、うまいこと書いてあるわけ。へえ~そんなに部屋を探しているやつがいるのか、だったらすぐ売れるじゃんと、その大手有名不動産会社に電話をしてみた。  話はとんとん拍子に進み、じゃ明日にでも売りだしますからと。売却を開始して2~3日は数人、物件を見に来たけど、あとはなしのつぶて。しかも、チラシに該当するようなお金持ちのお客さんは、全く見えず。あれって、ただの釣り広告だったのね。  これはまんまとやられた。この不動産屋を切るしかないな。ところが自分が全くの素人だったから、言われるままに「専任媒介」契約を結んでしまっていた。しかも3ケ月も。つまり他の不動産屋さんとは、契約が出来ない仕組みになっていた。これは焦りますよ。だいたいそいつのやっていることって、インターネットにアップして、お客さんが来るのを待ってるだけだからね。ヤフーオークションよりひどいかも。ちゃんと客連れて来いってば。  すでにマンションの荷物の多くは引き払い、無駄なローンを払っている状態だった。元本はともかく、利子は全くの捨て金だ。焦って来たので、2ケ月目にぶち切れて、専任契約を解除したい旨を通知する。解除に応じない場合は、次の「一般媒介」契約の時、あんたを除外するとね。そしたら上司と相談して、しぶしぶその話に応じて来た。  ここで「専任媒介」と「一般媒介」の違いだが、業務内容はほぼ一緒。より詳しい業務報告が頻繁に出るのが専任の方。そんなレポートもらっても意味ないからね。もし不動産を売るなら、絶対一般媒介で契約するに限ります。  さあこれで、複数の不動産会社と契約できるようになった。そうなると競争原理が働いて、またたく間に売れるんじゃないか、そう目論んだ。確かに超有名どこの不動産販売会社が何件も来て、契約を結んでくれた。けどね、やってることは、どこも同じ。ネット、特にヤフー不動産に上げてさ、同じ物件が何回も紹介され、被ってしょうがない。最初の値段より、値段を下げてネットに提示すると、その時は数人やって来るんだけど、契約の話までは進まない。  結局ネットでいったん値段を下げると、もっと下がるんじゃないかという心理が働き、買おうと思っている人がさらに待つ悪循環に陥る。もはや持久戦の様相を見せて来た。いやほんとまずい、こんだけ大手不動産販売会社が顔を揃えていながら、ネット以外、営業しないし。これ以上売る価格を下げたくない。どうしたらいいんだ、暗澹たる気分で売却開始、3か月目を迎えたのだ。 ⇒【後編】『ネット頼りで売れない中古マンション…デキる営業マンの「次の一手」』に続く https://nikkan-spa.jp/806994
木村和久

木村和久

■木村和久(きむらかずひさ)■ トレンドを読み解くコラムニストとして数々のベストセラーを上梓。ゴルフやキャバクラにも通じる、大人の遊び人。現在は日本株を中心としたデイトレードにも挑戦 ※マンションの写真はイメージです。本文と一切関係ありません
トレンドを読み解くコラムニストとして数々のベストセラーを上梓。ゴルフやキャバクラにも通じる、大人の遊び人。現在は日本株を中心としたデイトレードにも挑戦。著書に『50歳からのかろやか人生』
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