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中国の「抗日70周年パレード」に北京市民の不満続出。富裕層は脱出して日本旅行へ

中国の「抗日70周年パレード」に北京市民は不満続出だった「日本の軍国主義の企てを徹底的に粉砕した!」

 9月3日に開催された「抗日戦争と反ファシズム戦争の勝利70周年」を記念する軍事パレードで、天安門の城楼に立った習近平国家主席は、誇らしげに謳いあげた。

 パレードには1万2000人が動員され、40種類以上の兵器や装備が披露された。“失脚”が噂された江沢民元国家主席や、胡錦濤前国家主席の姿も確認された。

 しかし、会場のすぐ外では、異様な光景が広がっていた。当日、天安門周辺で取材を行っていたジャーナリストの富坂聰氏は話す。

「第三環状道路から内側は、一般市民の立ち入りが制限され、街はまるでゴーストタウン。いるのは水色のシャツを着た『首都治安ボランティア』だけ。もちろん、そのエリアにある商店なども当日は営業できず。当局による経済的な補償もなかったようです。そのため、店で働く従業員には無給休暇が言い渡され、労働者たちの不満がくすぶる結果ともなっている」

「反ファシズム」を記念するはずの式典は、全体主義の上に成り立っていたということか……。

◆抗日パレードの日に富裕層は日本旅行!

 しかし、北京市民が負担を強いられたのは、軍事パレード当日だけではない。8月10日からは車両番号による自家用車の通行制限が行われ、1日からは天安門周辺とパレードのルートに沿って車両と歩行者の通行が規制された。また、住民に対し、パレード前日から自宅を空け、自腹でホテルなどに泊まるよう指示が出されたエリアもあったという。

 パレードが通過する長安街から数ブロック離れた場所に住む27歳の中国人男性は、パレード終了後にSPA!が行った電話取材に対し、安堵の声でこう話した。

「ようやく終わってせいせいした。数週間前から予行演習が行われたり、最近では治安要員の警笛がけたたましく、うるさくてしょうがなかった。周辺の商店も休みで買い物もできない。テレビを付けても2日前からは娯楽番組は放映禁止だし、今日はパレードが終わるまで外出禁止だった。戦時中みたいだ。富裕層は北京を脱出して旅行に行っている。今日から3日間は連休だからね。僕の友人数人も東京に行っているよ」

 抗日記念の連休に日本旅行とは、なんとも皮肉なものである。

 また、天津市出身で北京市内の大学に通う22歳の女性も取材に対し、「中国の繁栄は世界に誇示できたかもしれないけど、規模を縮小して天津の爆発事故の処理や遺族への保障に回すべきだったのでは」と漏らした。

 一方、天安門から約1km南にある地下鉄・前門駅付近にいた日本人男性(41歳)は、パレード当日、こんな光景を目撃した。

「そこはパレード見物の一般市民でごった返していました。そこで突然、中年女性が大声を張り上げ始めた。訛りが強く聞き取りにくかったんですが、どうやら自分の子が無戸籍のいわゆる『黒孩子』であることを訴えているようでした。しかし、彼女は1分もしないうちに私服警官数人に取り押さえられ、どこかへ連行された。彼女は地方から上訪(直接陳情)にやってきたのでしょう。現場には海外メディアもいたので、自らの境遇をアピールする狙いがあったと思われます。現場では、彼女のほかにも、自宅を強制立ち退きさせられたと訴える男性もいた」

※9/8発売の週刊SPA!では、「現地ルポ 中国共産党[抗日70周年パレード]の舞台裏」という特集を掲載中。

<取材・文/週刊SPA!編集部>

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