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永遠の思春期ライター・山田ゴメスの極私的「2015年・裏流行語大賞」

―[山田ゴメス]―
 12月1日、『2015ユーキャン新語・流行語大賞』の年間大賞ワードとトップテン入りしたワードが発表された。そこで! 今年はいっちょう、ワタクシ山田ゴメスの周囲、あるいは脳内(だけ)で大流行したキャッチーなワードを、日刊SPA!誌面上ならぬ画面上で勝手に発表! 独断で大賞を決定し、その栄誉を称えたいと思った次第だ。さあ、キミの知っている「裏流行語」はいくつある? 山田ゴメスの極私的「2015年・裏流行語大賞」●入選その1 「興味深い!」 受賞者:草野球帰り、ゴメスが相乗りさせてもらったクルマの運転者  草野球の試合が終わって、あるチームメイトのクルマに乗っけてもらったとき、「最近、バッティング調子いいですね」と言われ、ヨガの呼吸法とバッティングの関連性を訥々と語ったら、この一言だけで話をバッサリと中断された。モチロンその彼が以降、ヨガの呼吸法を自分のバッティングに活かしている気配はまったくない。 ●入選その2 「スッスッ、ストボ~ル!!」 受賞者:某審判協会所属の草野球主審  同点の最終回、ツーアウト満塁ツースリーでゴメスのチームメイトが外角低めのストレートを見逃し。あまりにコースと状況が際どすぎたのか、主審のコールは「ストライク」と「ボール」がまざった間抜けなものに……。敵チームと失笑混じりの軽い一悶着はあったが、判定は覆らなかった。 ●入選その3 「わかった! ちゃんと上手いこと言っとく!!」 受賞者:某ゲイのヘアメイク  ゴメスが懇意にしている、ゲイをカミングアウトするヘアメイクH氏に、とある撮影で仕事を発注。あいにくスケジュールが合わず、代わりに後輩の新人ヘアメイク(ゲイ)を紹介してもらったのだが、その新人がまったく使えず、しかも現場では自分の話ばかりしてうっとおしかったので、H氏にクレームをつけたところ、この台詞が返ってきた。とくに「上手いこと」の部分がじわっと味わい深い。 ●入選その4 「ナポリン ナポリン」 受賞者:『孤独のグルメ』井之頭五郎  漫画『孤独のグルメ2』の90ページで、主人公の井之頭五郎氏がスパゲティーナポリタンを食べたいがあまり、つい口から発してしまった独り言。この気持ち、すご~くよくわかる! なにを隠そうゴメスも過去、ナポリタンの香りがただよう某喫茶店で、一言一句違わないうわごとが口から漏れた経験を持つ。 ●入選その5 「触らぬカリに祟りなし」 受賞者:某「草食系」を公言する女性ライター  10代20代とさんざん男遊びをし倒して、30代になってからは「セックスなんて面倒くさいだけじゃん」と、只今ニヒリズム中の女性ライターがワイングラスをぐるぐる回しながらポツリと語った名文句。思わず「上手い!」とコウベを下げたゴメスであった。 ●入選その6 「とにかく柔らかいことに尽きると思います」 受賞者:ばびろんまつこ  セレブキャラでネット上を賑わせ、結局は「カルティエのブレスレットの偽物を京都府内の主婦に65万円で販売した詐欺と商標法違反の疑い」で逮捕されてしまった「ハイパーエリートニート」の肩書きを自称するバンドルネーム「ばびろんまつこ」が、「女性でお金を稼ぐ人の条件は?」とツイッターで問われた際に、残した回答。フェミニズム社会に真っ向から立ち向かう珠玉の名言である。 ●入選その7 「かこ~っ! オレを置いて早く逃げるんだぁ~っ!!」 受賞者:山田ゴメス 「かこ」とは言うまでもない佳子様こと佳子内親王のこと。『美しすぎるプリンセスたち』(双葉社)という佳子様本(ムック)へゴメスが寄稿したイラスト付きの原稿に登場した台詞。佳子様とゴメスがICUのサークルで知り合い、二人で海外への駆け落ちを企んだが、成田空港でSPに捕まってしまうという妄想のみを綴った、まことに内容のないコラムであった。仮面ライダー・本郷猛(=藤岡弘、)調のイントネーションで。 ●入選その8 「老いる……とは それまで囚われていた<性>から遠ざかり安楽を得ることではないのか!?」 受賞者:『湯けむりスナイパー』源さん  殺し屋を引退し、地方の山奥の秘境温泉宿で働く源さんを主人公とする漫画『湯けむりスナイパー』。その「恥のかき捨て場」という章で(※ゴメスはつい最近、廉価本でこれを読んだのだが、作品が描かれた時期はもう10年以上前だと推測される)、バイアグラを使って地元のコールガールと性行為を試みようとした後、露天風呂でたそがれる老男性を見て、源さんがつぶやいた台詞。50歳半ばに差しかかろうとするゴメスの心に響く、含蓄あふれる“自問自答”である。 ●入選その9 「ちゃんと目を見て話しているからオレは無実だ!」 受賞者:ゴメスがJRりんかい線で見た40代らしき男性  朝のラッシュアワーで混雑するJRりんかい線車内で、生まれて初めて痴漢の冤罪(かどうかの結末は見届けられず)シーンを目撃した。そのとき、「触られた」と主張する側の、いかにもギャル風のハタチそこそこっぽい女子が「触ってないならきちんと目を見て話せよ!」と啖呵を切った際、「触った」とされる側の40代っぽいサラリーマンがノドから捻り出した血の叫び。抗弁としてはなんの説得力もないが、迫力だけは満点だった。 ●入選その10 「そら見たことか!」 受賞者:↑の事件で被害者を主張していたギャル風の女子 「ちゃんと目を見て話しているから~」とがなり立てた直後、その40代っぽいサラリーマンがふと、いかにもギャル風のハタチそこそこっぽい女子から目線を外したとき、鬼の首を取ったかのごとく叫んだ罵倒文句。ギャル(風)の外見と「そら」という古典的な言い回しとのギャップが非常にシュールであった。 ●次点ワード 「話せばわかる!」 受賞者:↑の事件でしゃしゃり出てきた初老のおじさん  あれこれと不毛なやりとりを繰り返す二人を割って入ってきた60代から70代っぽいおじ(い)さんが、ぴしゃり一言。「話せば話すほど泥沼状態になってしまうのでは…」とも思ったが、とりあえず火中の栗をあえて拾いに行ったおじ(い)さんの勇気には、惜しみない拍手を贈りたい。  そして栄えある年間大賞は・・・・ ★大賞 「ヨガで打率が4割になったんですよー」 受賞者:山田ゴメス  ある仕事の縁でヨガを始めることになった山田ゴメス。最初は「ヨガなんかオンナ子どものやるラジオ体操みたいなもんでしょ!」とバカにしきって、レッスンも適当に流していたものの、その呼吸法をバッティングに取り入れると同時に、これまで2割ちょっとしかなかった打率が.414まで急上昇(29打数12安打・8月~12月1日現在)! 今では、人と会うごとにヨガの素晴らしさを伝導する「ヨガ・スポークスマン」と成り果てている始末だという噂である。 <取材・文/山田ゴメス> 【山田ゴメス】 山田ゴメス1962年大阪府生まれ。マルチライター。エロからファッション、音楽&美術評論まで幅広く精通。西紋啓詞名義でイラストレーターとしても活躍。また『解決!ナイナイアンサー』のクセ者相談員の一人でもある。日刊SPA!ではブログ「50にして未だ不惑に到らず!」(https://nikkan-spa.jp/gomesu)も配信中。著書『クレヨンしんちゃん たのしいお仕事図鑑』(双葉社)も好評発売中!
大阪府生まれ。年齢非公開。関西大学経済学部卒業後、大手画材屋勤務を経てフリーランスに。エロからファッション・学年誌・音楽&美術評論・人工衛星・AI、さらには漫画原作…まで、記名・無記名、紙・ネットを問わず、偏った幅広さを持ち味としながら、草野球をこよなく愛し、年間80試合以上に出場するライター兼コラムニスト&イラストレーターであり、「ネットニュースパトローラー(NNP)」の肩書きも併せ持つ。『「モテ」と「非モテ」の脳科学~おじさんの恋はなぜ報われないのか~』(ワニブックスPLUS新書)ほか、著書は覆面のものを含めると50冊を超える。保有資格は「HSP(ハイリー・センシテブ・パーソンズ)カウンセラー」「温泉マイスター」「合コンマスター」など
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