更新日:2022年06月22日 00:35
スポーツ

美しき“スナイパー”清水綾乃 2曹採用を蹴って自衛官候補生へ

~もぎたて!女子アスリート最前線 第10回~  50メートル先にある標的の中心はわずか0.5ミリ。的を狙い撃ち終えるまで、呼吸を止めてその体躯は微動だにしない。多くの競技が“動”であるのに対して、射撃競技は圧倒的に“静”のスポーツである。普段は笑顔の爽やかな女性だが、ひとたび、重量感のあるスモールボアライフル(約7kg)を構えると冷徹なスナイパーに変身する、清水綾乃選手の経緯を見ていこう。  射撃を始めたのは母の薦めで中学の3年の時、シドニー、アテネライフル射撃日本代表監督藤井優氏の「メンタルマネージメント」の講演に行ったのがきっかけだった。今まで習い事もしたことがなく、何の目標も無かったので「やってみるのもいいかな」という感じではじめてみたという。

しみず・あやの

 偶然、私立済美高校の恩師で射撃部監督の渡辺龍一先生に声をかけてもらい通うようになり、その後スポーツ推薦で入学。銃は学校のものを使っていたのだが、自分のが欲しいと先生に言ったところ「まずは、日本一にならないと自分の銃なんかもったいない」といわれ練習に励み、2009年の「秋田わか杉国体」 10m 40発 400満点で397点という大会新記録で優勝し先生のもとにいくと「3発も外したじゃないか」とそれでも先生からは褒めてはもらえなくてびっくりした。先生は自分の性格をわかってのことだと感じたそうだ。  大学は中央大学に進むが、ナショナルチームで活躍していた中村結花選手の下で勉強したいとの思いで入学。その年、第21回全日本女子ライフル射撃選手権大会で中村選手の学生生活最後の大会で団体にエントリーするが、「見られている」という今までにない緊張感の中、試合に集中できず、満足のいく成績が残せず優勝を逃し申し訳なくて先輩の前で号泣してしまった。  大学4年になり今度は送り出される立場の同24回大会、今度は連覇のかかった試合では、1年の時の教訓もあり、「4年の時には女子の総合優勝をして自分も優勝して卒業する」というのが1年の屈辱的な大会の後からの目標だった。1発1発撃ちながら周りを見ることができ「学生生活が終わるんだな」と思いながら撃つことができ、結果優勝できた。卒業後、2曹採用で入隊できるところを、自衛官候補生を選び、経験を積み自衛隊体育学校に配属となる。 ⇒【写真】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=1006678  運動は昔から得意ではなく射撃をするために訓練している感じで女子的な誘惑には、「射撃での目標があるので気にならない」とのこと。  それでも週末休みには、普通に「友達とウィンドウショッピングをするのが楽しい」と女子らしい一面もある。  今後の目標はリオオリンピック出場を獲得しメダルを目指すと語る清水選手。 「一番にこだわらないと意味がないのでこれからも一番を目標にやっていく!」 <取材・文・撮影/丸山剛史>
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