なでしこジャパンの救世主・成宮唯「ブラジル戦の2ゴールはすべてがピタッとハマった感じです」
―[もぎたて!女子アスリート最前線]―
「運動神経、めっちゃ悪いんですよ。身体もチームで一番硬くて、前屈なんてもちろん手が地面につかないし。投げる系も全然ダメだし、泳ぐのもまったくダメ。中学からはプールに入ったことすらない(笑)。走るのは……ようやくマシになってきたとはいえ、決して速くはないですね」
~もぎたて女子アスリート最前線 第29回~
およそアスリートとは思えない発言を繰り出すのは、成宮唯。今年からジェフユナイテッド市原・千葉レディースに移籍した女子サッカー選手で、京都出身、22歳になる期待の新鋭である。成宮がサッカーを始めたのは小2のとき。父と兄の影響だった。中でも父はサッカーを愛してやまず、ワールドカップの時期になると深夜に起き出して延々とテレビ観戦するほど。だが娘がサッカーを始めたいと伝えると、なぜか猛反対してきた。
「ピアノとか女の子っぽいことを、私にはやらせたかったみたいです(笑)。それでも結局はやるってことになり、地元の小学校にあった少年団に入りました。そこは私が入るまで女の子はいなかったんですけど、私と同じタイミングで5人くらい一気に入ったんです。その1年後くらいには女子チームもできたんですけどね。ただチームとはいっても、5人だけじゃ話にならないですよね。なので試合になると、別の小学校からもサッカーやっている女の子をかき集めるんです。みんなそれぞれ、普段は男子に混じって練習していて。そんな調子だったから、試合ではフォーメーションも戦術ももちろんなくて、むしろ“誰?”ってお互いに様子を探っている感じ(笑)」
小学校も高学年に入ると、徐々に男女の体格差が出始めてくる。身長130cm足らずの成宮が160cmを超える男子選手に混じってプレーするのは、極めてシビアなこと。大きい選手に削られるのが嫌で、自然と間をスルスル抜けるようなプレーが身についてくる。男子と一緒にプレーしてきたことが、選手としてのスタイル形成に大きく関わっていると成宮は語っている。
「やっぱり男女でレベルの差っていうのは明らかにあって。男子のほうが単純に当たりも強いですし。また私が入っていたチームっていうのが、今冷静に考えてみてもみんなすごく上手だったんですよね。そのあと、ガンバ大阪に行ったチームメイトもいましたし。京都大会も3回くらい優勝しました。それで私が小6のとき、初めて小学生部門の全国大会に出場したんです。そのときは男子に混じってプレーして、なんとか得点も獲ることができた。これで自信というか、手応えみたいなものを感じたんです。“よし、男子の中でも戦っていけるぞ!”って」

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