キャバクラでよくある『美女と野獣』パターン【コラムニスト木村和久】
―[木村和久の「オヤ充のススメ」]―
― 木村和久の「オヤ充のススメ」その163 ―
映画「美女と野獣」がヒットしているようですね。現実的には、あんな息が臭そうな野獣と絶世の美女が交際するなんてあり得ません。そもそも豪邸に服を着て住む野獣そのものが、存在しないのですから。でも、似たようなことが水商売の世界、特にキャバクラでは日常茶飯事的に起きてます。
昔、キャバクラ嬢と仲良くなり、お客さんの話をよくするようになりました。そのときの会話は「あの席にいるお客さん、顔が凄く怖いんだけど、もし呼ばれたらどうしよう。泣いてしまうかも」というものでした。
おいおい、そこまで言うことないでしょう。顔がゴリラみたいだからこそ、キャバクラに来るわけなんだし。そういうとき、私はひとつのサジェスチョンをします。
「案外、これはチャンスかもよ。顔がおっかないからって、みんなが近寄らない。そこで、あなたが飛び込んでいけば、凄く太い客になってくれるかも」
そういうと、キャバ嬢は「顔が怖いから、説教されそう」と、逃げ腰です。
「でも、あのお客さん、よく見かけるよね。ということは、キャバクラに自ら来店して、楽しもうとしているんじゃないの。普通に喋っていれば、それだけで喜ばれるよ」
彼女は「そうかなあ~」と言いつつも、チャンスがあったら、試してみると言っていました。後日、彼女と喋る機会を得ると、例の怖いおっさん話をしてきました。
「あの怖い顔の人の席に、この前ついたのよ~。わざと、こっちから喋りかけてみたら、凄い喜んでくれて」
「な、言っただろ」
そのコワオモテのおじさんは「怖い顔をしているから、みんなびびって喋ろうとしないんだ」と、ぼやいていたそうです。そのキャバ嬢は誰も怖がって近づかない、おっさんをあえて狙うようにして、人気キャバ嬢になったのです。
キャバクラのお客さんは、自分が払ったお金に対してそれ相応の見返りを求めます。2万~3万円払ったら、それなりの満足感。すなわち「相手に受け入れられている」という受容欲求みたいなものを求めます。
でも毎回、そんなことが起こるわけでもなく、時にはオヤジのキャバクラ3大疾病「説教、愚痴、セクハラ」を行って、ウサを晴らしたりもします。それはキャバ嬢に受け入れられなかった代わりの、しっぺ返しなんですね。
キャバ嬢が「あの、おっさんは凄く怖かった。ほとんど喋ってくれないし~」と愚痴るのは、そのキャバ嬢のキャラクターや容姿がお客さんに受け入れらなかったからだと思います。やはり、さほど可愛くないキャバ嬢は無視されるか、イジられる運命なのかもしれません。あしからず。
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