アイドル女優がドラマでホステス役をやる理由【コラム二スト木村和久】
―[木村和久の「オヤ充のススメ」]―
― 木村和久の「オヤ充のススメ」その172 ―
7月からスタートした夏ドラマでは、清純派女優の誉れが高い武井咲が銀座のクラブママ役に挑戦して、話題となっております。松本清張原作の人気小説「黒革の手帖」(テレ朝、木曜21時)のドラマ化で主人公の悪女・原口元子を演じています。黒革の手帖は、過去に何度もドラマ化されて、いわばクラブホステス&悪女役の登竜門的なドラマ。過去の女優たちと比較されがちです。そういう意味でも、これからの彼女の演技と踏ん張りが楽しみです。
今回は、そんな話題から歴代アイドル女優のホステス役評とホステス役に何を求めるかを探っていきたいと思います。
もともと、サスペンスものや2時間ドラマなどではお馴染のホステス役ですが、アイドル女優がそういうのをやり出したのは1999年の「お水の花道」あたりからです。財前直美が引退間近のホステス役で大当たりしましたが、案外ウケてたのは一色紗英の思わせぶりなホステス役でした。色気も気品も情緒不安定ぶりも見事に醸し出し、これぞ人気ホステスって感じでしたもの。
その後は伊東美咲、石原さとみ、佐々木希と立て続けにあり得ない超美女がホステス役に挑戦。ホステス自体がなりたい職業のベスト10に入るという、社会現象にもなりました。
例えば、地方の宮崎とか札幌とかに飲みに行くでしょ。そこで、可愛いキャバ嬢と喋って「キミは綺麗だから、六本木のキャバクラでも人気が出ると思うよ。どう来ない?」って冗談で聞いたことが、しばしばありました。すると「六本木って超可愛い石原さとみみたいなコしかいないんでしょ。私は絶対無理~」と言うわけですよ。
アイドル女優が続々とホステス役を演じてくれたおかげで、六本木のキャバクラのレベルが上がって、個人的には嬉しいです。
つまり、そこそこ可愛いコが六本木で働いていて「キミ超可愛いね、今度同伴しようか」なんて言うと「私なんかホント地味で。この店はみんな可愛いから、場違いじゃないかなって思うんです」と、マジで語ってきますから。だから、おだてて誉めると、わりと仲良くなりやすいというメリットがあります。
話を芸能界に戻しますと、アイドル女優はなぜホステス役をやってしまうのか? これはひとえに、イメージチェンジ、ステップアップにほかなりません。
おっちょこちょいなキャラクターだけど、本音をズバズバ言うOL役じゃ芸の広がりがない。そこで多少の汚れ役をしてもらうわけです。世間的には、ホステス役は市民権を得てますので、さほど汚れたイメージはつかないでのです。だから芸歴に傷はつかず、女優開眼の試金石として打ってつけなのです。
あと、コスプレとしてビジュアルを楽しみたいという人もいるでしょう。やはり視聴者は人気女優のキャバ嬢姿を単純に見たいのです。セクシーなドレスを着て、男を翻弄する。しかも、男女の駆け引きとか思わせぶりとか色眼づかいとか……そういうのを見て、妄想を膨らませるというわけです。
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