ニュースは「偏り」前提、それを踏まえて判断するのが重要――荻上チキ×プチ鹿島 対談
あるニュースを新聞が書いても書かなくても、ネットで「偏向報道」だと言われる昨今。そのなかで『すべての新聞は「偏って」いる』を著した荻上チキ氏は、今年の新聞報道をどう分析するのだろうか――。
『すべての新聞は「偏って」いる』を上梓した荻上氏。一方、「時事芸人」として知られるプチ鹿島氏も新聞をキャラ付けして楽しむ『芸人式新聞の読み方』を提唱している。アプローチは違えども、ともに、「ニュースにはバイアスがあるのが前提」と指摘する――
荻上:新聞の見方をどう提示するかもひとつの芸で、僕は数字を出すスタイル。鹿島さんは各新聞の立ち位置を明確にするために、擬人化をしていますよね。朝日はインテリおじさんで毎日は書生肌のおじさんで、産経は和服の小言おじさんというように。
鹿島:M-1の審査員じゃないですけど、新聞も「どっちが好き、どっちが嫌い」ってなっちゃうじゃないですか。
荻上:和牛がよかったのに!とか。
鹿島:新聞を好き嫌いで語るとガチンコの言葉の投げつけになってしまう。それを回避するためのキャラ設定をしようと。新聞は「自分が正義だ!」と主張し合っているおじさんで、どっちが正しいという話ではない。例えば、朝日おじさんは産経おじさんにどんだけ絡まれてもツーンとしてる。
荻上:朝日おじさんは、政治家のほうをよく見てますよね(笑)。
鹿島:似てると思われている読売おじさんと産経おじさんだって、違っているわけです。
荻上:産経おじさんは最後まで己を貫く。ブレないけれど、読売おじさんは「まぁまぁ、このあたりで」と、大衆を誘導する。
鹿島:今年の5月、安倍さんが憲法改正について聞かれ「読売新聞を熟読して」と言ったとき、産経おじさんはやはり、悔しかっただろうなと思いますよ。
荻上:なんでオレじゃないんだ! こんなに応援してるのにって。
鹿島:僕は最近、野球に喩えるんですけど、「安倍政権」という野球場には一塁側に読売と産経がいると思うんですよ。僕自身は本来的にはジャーナリズムは三塁側にいるものだと思います。でも、現実的に一塁側に陣取っているわけで、だったら、どんなヤジを飛ばしているかを見て楽しもうと。
ニュースは「偏り」を前提にして読む!
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